効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

都市ガスの臭い

東京ガスが、送り出している都市ガスに臭いをつけるために使っている微量の化学物質に含まれる硫黄分を半分にすることに成功して、間もなくそれに切り替えるということだ。都市ガスには、漏れたときや、点火し損なったときなどにすぐ気がつくよう、いわゆるガスの臭いが付いている。昔の都市ガスは石炭を乾溜したガスだったから、石炭に含まれている成分で臭いがついていた。しかし、現在大手のガス会社が送っている都市ガスの原料がほとんど全て液化天然ガスに切り替わっている。この原料には不純物がまったく入っておらず無色無臭であるために、都市ガスユーザーに馴染みのある臭い成分(付臭剤)を安全性確保のためにわざわざ加えて送っている。問題は、その臭いの成分になる化学物質に、どうしても硫黄分を含んだものを使わないと人間の鼻にはガス臭と受け止められないということだ。微量とはいえガスを燃やした排気の中に硫黄分が残ってしまい、SOXとして大気中に混じってしまうのはできるだけ少なくしたい。だから、昔からガス会社は硫黄分を下げても同じだけの臭い強度がある物質を見つけようとしていた。東京ガスがそれに成功したということだ。
これは東京ガスが間もなく家庭用燃料電池を商品として本格的に販売を始めることと少なからず関係するように思える。都市ガスを使用する燃料電池には、天然ガスを分解して水素にする変成装置(リフォーマー)が組み込まれていて、その化学反応に使用される触媒が硫黄分によって作動しなくなるため、わざわざ高性能な硫黄分除去装置を前段につけてある。都市ガス中の硫黄分が半分になれば、この除去装置の寿命も延びるだろうし、製造コストも下がるだろう。また、メンテナンスの問題も低減させることにもなる。これは他の都市ガス事業者にも嬉しいことだろう。日本中で広く使われるようになるに違いない。東京ガスがそれの対価を貰うだろうか。