効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

無線で電力送信

無線で信号を送って電子機器などを制御するのはもう日常的に行われていることだ。無線LANを使えばパソコン同士の接続にも足に絡まったりするコードも不要となる。ところが、それに加えて、無線で電力を送る方式が検討され始めたという。報道では、テレビやパソコン、ビデオ機器などの各種デジタル家電を、電気や通信用のコードなしで利用できるようにする技術の研究開発が官民の連携で始まったとある。家電のネットワーク化が進むと、相互接続のために配線が増えていくのは明らかなので、微弱な電波で相互を接続できるようにする方式はすでに実用化に近くなっていると理解している。しかし、今回の研究は「無線給電」、すなわち、電気コンセントに給電装置を差し込み、この装置から電波で家電に電気を送り込む仕組みを想定している。こうした無線給電の技術は電話の子機など小型機器向けにはすでに実用化されているが、給電できる距離は1センチメートル以下にとどまっている。これを1〜2メートルに延ばしてテレビなど大型機器にも無線で電気を送れるようにするのだそうだ。
これはエネルギー効率の観点からすると効率を低下させるものとなるはずだ。無線で電力を送る場合、電力を無線に変換するときにエネルギー損失が起きる。そして、無線の送信も距離の二乗に反比例して送られるパワーは低下するから、電気機器に到達するまでにエネルギーがかなり失われるはずだ。制御のための無線通信であれば、受信感度を上げることができれば解決するのだが、電力の場合には受信した電力を増幅することはできない。一つ一つの機器に向かった電力の損失は見かけ上小さくても、普及すればその数は無数となって、一つ一つの損失を積み上げると膨大な電力損失になるだろう。便利さの追求のあまりエネルギー効率を下げてまでも実用化させるのだろうか。何かがおかしい。無線LANでも、そのためのルーターなどは24時間ONになっているのが殆どだから、待機電力のようになっている。しかし、効用との比較で受け入れるのに反対はしないが、無線での電力供給はその考え方に反対だ。