このブログを書き始めてほぼ2年、アクセス総数が15万を超えた。駄文を読んでくださって有難いことだ。明日からヨーロッパ出張。時差の関係で毎日書いてきたのが一日抜けないように注意しないといけない。
庭の梅がつぼみを一杯つけていて、僅かにほころび始めたものもある。春の気配を感じさせてくれて嬉しい。
春の気配といえば、昔ボスにくっついて何回か参加したことのあるダボス会議がいまたけなわとなっている。これは毎年1月から2月にかけて週末を挟んで開催されるもので、これから一年間の政治経済の気配を知るのに絶好の場所となっている。スイスのチューリッヒから車で1時間以上かかる山間にあるスキーリゾートであるダボスは、トーマス・マンの「魔の山」に登場する山岳地帯にある。ここに世界から政治経済のキーパーソンが集合して、多方面にわたるテーマについて意見交換する。重要人物ばかり集まるのだが、立派なホテルは一軒しかなく、殆どの人、特に経済界の人々はスキー宿に泊まっている。いつもなら最高級ホテルに泊まって当然の人たちが狭い部屋に泊まるのだ。ここで議論されることが極めて重要な情報となるし、一度会議場に入ってしまうと、普通ならアポイントを取るなど至難な人と簡単に握手して意見交換も可能だから、宿泊の場所などにこだわっていないのだ。
昔は日本の首相や政治家が来ることなどほとんどなかった。ちょうど国会の開会中だということもある。しかし、福田首相に続いて麻生首相が今年は短時間ながら訪問して日本の存在感を高めようとした。果たしてその意図は達成できたか。ここでは演説をすることではなく、それに続く質疑応答でいかに自分独自の考え方を抽象論ではなく具体的に自分の言葉で表明できるかによって結果が決まる。この面で日本の政治家は極めて下手くそだ。自分が参加していた頃には、日本から来て政策に関係する立場にあるのは官僚だけだったから、政策について自分の意見を言える立場にないために、聴衆を白けさせる応答しかできなかったことを今でも覚えている。
新聞に麻生さんが話した内容は小さく紹介されているが、どれだけ個性的な動きができたのだろうか。期待薄だ。ダボス会議に対する日本の評価、認識が世界とずれているのかもしれないが、会議だけではなく、昼食会、夕食会などに積極的に参加することができなければ本音の話を聞くことはできない。原稿なしに英語で意見交換し、先手を打ってやりこめる能力がなければ、負け犬になってしまう。参加するだけでは半分以下の意味しかない。麻生さんはほとんどあしらわれたに近かったのではないかと思う。