効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ロシアの天然ガス供給

ロシアがエネルギーという社会の基盤になるものを供給する地位を政治的に利用し始めた。報道に拠れば、ロシアの独占天然ガス会社ガスプロムがこの1日にウクライナへのガス供給を停止した。天然ガス供給の停止はこれが初めてではなく、2006年から何度も行われている。ロシアから欧州への天然ガス供給パイプラインはウクライナを経由しているから、状況次第では欧州への供給にも支障が出る可能性がある。欧州はガス消費の4分の一をロシアに依存しており、その内8割はウクライナ経由になっているから、ウクライナが緊急避難的に欧州へのガスから自国用を抜くということになれば、冬で需要の高まっている欧州にとって重大な事態となる。過去にもこのようなことは起こっている。
表面的には天然ガス価格を巡る交渉が合意に至らなかったと言うことだが、ウクライナの親欧米政権に対する政治的圧力であることは明らかだ。旧ソ連の親ロシア国であるベラルーシなどへの価格の二倍以上を要求している。さらにはウクライナからの食品輸入制限も匂わせているということだから、単なるビジネスの話ではない。
今春からロシアの天然ガス輸入を開始する日本にとって、ロシアをどこまで事業相手として信頼できるかの判断を迫られているのかもしれない。ただ、ロシアも天然ガスや石油の輸出に殆ど依存する経済だから、原油価格が低落した現在、収入確保のために軽率なことはしないだろうが、いざとなると政治的主張をとおすために恫喝する種につかうかもしれない。日本がこれに対抗できるだけ強力なカウンターを、政治的にも事業的にも持っていなければ、これからロシアからの天然ガス輸入が増え、依存度が高まるのは必然であるだけに心配だ。10年ほど前に、英国の天然ガス市場の専門家が、日本がロシアを警戒しすぎると言っていたが、いま彼はどのような信頼度をロシアに持っているだろうか。