効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

関西電力社長と家庭用燃料電池

12月11日付けの日経産業新聞の24面に眼光紙背というコラムがあって、そこに関西電力の森社長が最近の記者会見で、家庭用燃料電池について「あんなものは新エネルギーでもなんでもない。単なる自家発電装置だ」と述べたと出ている。2009年度から市販が計画されているのをこのように評価したわけだ。自家発電装置だと認めたのは大きな進歩かもしれない。電力会社の幹部にとっては、大規模発電所しか頭にないのだろうが、自家発電設備の一種であるコージェネレーション(熱電併給)システムは、日本、米国ともに総発電容量の10%ほどを占めていることを見れば、分散型である自家発電装置の存在意義はこれからもっと高まるだろう。
燃料電池は高効率発電をしながら廃熱利用をしているから、1キロワット以下と小振りではあるがコージェネレーションであることに間違いはない。米国で高効率であるコージェネレーション再生可能エネルギーと同じ扱いにして、RPSに組み込んでいる州もあり、その数は、連邦政府が積極的な推進策を打ち出そうとしているために、これから増えるに違いない。ヨーロッパでも、小型のコージェネからの電力を電力会社に買取を義務づけている国もある。電力会社が自らこのような小型のコージェネを販売促進しているとも聞く。それはRPSの義務量が多いために、従来の大規模志向を修正しているのだ。
日本の電力会社は、大きいことは良いことだと信じ込んでいるようだが、大きいものから出る悪影響もそれだけ大きくなる。小さいものは小回りがきくし、それが総合されて系統連系されて系統への送り出しが許されれば、発電の信頼性も高くなるし、二酸化炭素排出も大きく抑制できることになる。森社長は、おそらくコンバインドサイクル発電で60%ほどの発電効率を出せばそれで良いと言うことだろうが、発電所からの排熱を利用できない損失があることには変わりがない。しかも全部の発電所でこの方式を使うようになる訳ではないから、小型のコージェネ、特に家庭用燃料電池についての認識を、エネルギー事業のトップとしてもう少し改めるべきだろう。そのうちに家庭用燃料電池オール電化と同じ地位を占めることになるかもしれないのだから。