効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

FC Expo in Osaka

寒さはあるが快晴の中、大阪国際会議場(グランキューブ)へでかけた。FC Expo in Osakaという燃料電池関連の展示と講演があるからだ。もう一つ、京阪電車が天満から新しく延伸した中之島線に乗ってみるという楽しみもあった。JRの京橋で京阪に乗り換えて中之島終点まで行くと、それが国際会議場とロイヤルホテルの真下にあって、以前から見るとアクセスが極めて便利になったことを実感。
東京で開催されるFC Expoは大阪のおそらく3倍以上の規模で、彼我の差を感じる。今日と明日の2日間の開催だが、自分は今日だけの参加。基調講演にはパナソニックのホームアプライアンス社副社長、石王治之氏。最初の地球温暖化の解説は不要だったが、それに続いて今までの開発経過も含めての話は面白く聞けた。来年度から1kW燃料電池を商品として販売するということになってはいるが、少なくともコスト面では政府の補助がなければ市場での競争力は全くない。話の中でも規模のある市場にまで育てるまでのバリアが大きいことを述べておられたが、義のある商品だから、努力すれば必ず成功するという理念で取り組むという言い方は、商品化に向けたパナソニックの必死さを表したものだと言えるだろう。
ついで富士経済の渡辺啓太氏が燃料電池の将来市場について述べた。現時点では家庭用のPEFC・固体高分子電解質燃料電池でも未完成、自動車用についてはそれにさらに数年は遅れている現状認識を示した後に、市場の将来について明るい見通しを出していた。しかし、自動車用については本格的燃料電池自動車がものになる前に、電気自動車の性能の方が追いついて商品化が早いのではないかという感じを受けた。400人ほどで満席の聴衆に向かってメリハリのある話をしたが、いつも議論をしている渡辺氏の有能さの一面を教えて貰った。
ついでTOTOの開発しているSOFC(固体酸化物電解質燃料電池)について、燃料電池開発部・部長の上野 晃氏の話を聞いた。シンプルなチューブ型のセルを開発しているが、改善のテンポは早そうだ。1kWクラスの家庭用についてはノーリツと共同でシステム開発をしているそうで、燃料改質も含めたセルスタック部分の開発に徹して、全体システムまでの開発は他企業と共同でするという方針のようだ。発電効率PEFCより高いので、早く商品化してほしいと期待している。
ついで、燃料電池を搭載した電車の本線走行試験について、JR東日本の研究開発センター課長・古田良介氏の話も聞いた。JR東日本が目標とする二酸化炭素削減目標を達成する一環として行っている開発だが、電化されていない路線のディーゼルハイブリッド車両の代替としての意味はあるかもしれないが、必然性がどこまであるかなという感じだった。ここで使っている燃料電池は、バラード社のPEFCだった。車両が走っている動画を見ると、かなりの量の水が流れ出しているのが見えて、水素と酸素で水ができるというのを印象づけるものだった。