効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

シャープがイタリアで太陽電池製造

今日の日経新聞トップに出ているが、現在世界で2番目に多く太陽電池を生産しているシャープが、イタリアの電力会社ENELと提携して太陽電池製造設備をイタリアに建設することになった。地球温暖化対応への一つの切り札となる太陽光発電への需要は、現在の金融危機の中でも確実に増大するものと見られる。ドイツのQセルズに昨年世界トップの座を奪われたシャープが起死回生の動きを見せたと言える。国内でも堺で製造工場を建設中であるが、太陽光発電への需要が速いテンポで伸びているのはヨーロッパであるし、今後は米国でも急伸するだろう。その時に日本から輸出するよりもヨーロッパに製造拠点がある方が全ての点で有利になるのは当然のことだ。シャープはいままで、国内で生産した太陽電池セルを英国でモジュールに組み上げてシステムにして販売していたのを、イタリアではセルからシステムまで一貫した生産をするそうだから、コスト的にもかなり引き下げができる。しかも通貨が統一されているから、英国で作るよりも為替の問題も少なくなる。
同時にシャープはENELと太陽光発電所の共同運営でも合意している。2009年春をめどに、ENELが過半を出資して合弁会社を設立して、11年に合計約19万キロワットの発電能力を持つ発電所をイタリアで展開するそうだ。僅か2〜3年でこれだけの規模のものが建設できるのだから、太陽光発電所建設の柔軟性がよく分かる。日本ではまだメガワットクラスのものの実証試験をしている段階だというのに、欧米では大型の実用プラントの建設が着実に進展している。日本では系統に与える影響ばかり強調される。たしかに欧米と日本では系統の組み立て方が異なっていることは事実だが、それがいまのような電力会社の拒否的な態度が正当化されるものではない。
EUは20年までに太陽を含めた再生可能エネルギーの比率を20%に高める政策を打ち出している。それに則して各メーカーも大がかりな生産能力の拡充に踏み切っている。世界首位のQセルズや3位の中国サンテックは10年には07年実績の6倍にあたる200万キロワットの以上の能力を確保する計画を出しているとのことだ。シャープも数年後には能力を600万キロワットに高める構想も持っているらしい。シャープがこれだけのものを日本で作るとすると、それに必要な電力は膨大で、ほとんど輸出に回るとすれば、電力を輸出することに通じる。海外で生産増強して貰うのは日本のエネルギー安全保障から見ても望ましいことではないか。