効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

1万キロワットの太陽光発電

関西電力が堺に1万キロワットの太陽光発電を建設すると発表した。いままで国の研究資金を使ってメガワット(1,000キロワット)クラスの太陽光発電の設置が、電力供給系統にどのような影響を与えるかの試験が行われてきたが、その規模をはるかに超えるものを建設することになる。これは、太陽光発電は規模が大きくても発電設備としてあまり問題がないことが電力会社には分かっていたということだろう。国の実証試験は何のために税金を使ったのだろうか。
太陽光発電の出力変動は風力発電に比べてはるかに予測しやすいし、その変動も急峻な変化はしないのだから、系統に与える影響は大きな問題ではないと予想していたが、そのとおりであることを電力会社が認めたことになる。しかもここから出てくる電力は、電力会社が義務づけられているRPSには2倍に換算されるから、電力会社のメリットは大きい。設置工事も難しいものではないし、稼働後の故障も少なく、運転要員も火力発電などと比べるとはるかに少なくて済むはずだ。また、需要の少ない夜には発電することはないから、ピーク用の発電設備だと考えれば、極めて効率の高い物となるし、排気も出ないから環境アセスメントの必要性もゼロに近いだろう。
しかし、日本でこのような万キロワットクラスの太陽光発電が望ましいかといえば、それは平地に建設されるのがほとんどだろうから土地の有効利用の観点から見れば疑問である。適地も日本では多くないはずだ。それよりも、まだ沢山ある屋根に設置するのを累積させることによって大規模化するべきだと思う。今回の1万キロワットのものでも、かなり細分化された規模のものを連結していて、それぞれに系統連係させる制御がなされているはずだから、小さい屋根に取り付けたものを連結させるのと技術的な差は大きくないと思う。素人の考えだと一笑されるかもしれないが、小さな太陽電池パネルを屋根や駐車場など、すでに何かの役割を果たしているスペースを発電スペースとして使うようにすべきだと思う。今回の1万キロワットは、電力会社の環境対応をしているという企業PRのために行ったものと考えた方が良さそうだ。コストが高いけれども環境のために設置しましたとPRするだろうが、米国の例を見ても、工場の集積が急激に進んで需要が急増するときには、従来の発電所からの系統を増強するよりも、需要地に太陽光設備を設置するほうが、設備自体のコストは大きくなっても、系統増強が要らないために、トータルのコストとしては引きあうものになる可能性が高い。コスト試算など、今後のためにデータを公開してほしいと思う。