効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

摩擦とエネルギー効率

昨日は電気のモーターのエネルギー効率について考えた。今日のテーマは、何にでもついて回る摩擦を減らすことがエネルギー効率向上に重要であり、しかもまだまだ摩擦を減らす分野が一杯あるということだ。
日本ペイントの子会社で船底塗料を手がける日本ペイントマリンが、水との摩擦を減らす船底塗料を開発したそうだ。塗料表面を固体と液体の中間の性質を持つゲル膜で覆うことで、船が水上を進む時に生じる摩擦抵抗を減らすことができたのだ。従来品に比べて燃費が4%程度改善するという。体の表面が粘膜で覆われていて摩擦抵抗が小さいイルカやマグロからヒントを得たというから面白い。塗料成分に、水と接触するとゲルに変化する独自の高分子化合物を配合し、水と接触した塗料表面にゲル膜ができる。塗料成分に入っているのも面白い。表面には凹凸があるが、凸部分は船が動くときに水で削られ、凹部分にゲル膜が残る。凹凸の差を従来の150マイクロメートルから100マイクロメートル(0.1ミリメートル)に抑制することができるという。要するにざらざら度が大きく下がったということだろう。価格は従来品の3倍程度になるが、積載量9.5万トンのコンテナ船に5年間耐久するこの製品を使うと、燃費改善によって約1年で初期投資を回収でき、二酸化炭素排出量も年1万トン削減することができるとしている。
昨日のトピックであるモーターには必ず軸受けがあって、この部分の摩擦を減らすためにベアリングが使われるのが普通だ。しかし、この部分を高速回転すると浮き上がって空気が潤滑油の役割を果たすようにもできるはずだ。キャプストン社が開発したマイクロタービンの軸受けがそうなっている。また回転軸が垂直のものに独楽の原理を使ったフライホイールがあるが、これに磁石の反発力を利用してホイール(円盤)の軸を空中に浮かせて摩擦を少なくしているものもある。同時にホイールを収納してある部分を真空にすると、空気による摩擦抵抗をなくすることができる。フライホイールを利用した大型蓄電装置も実用化に近づいているようだが、僅かの摩擦でも長時間の間にはエネルギー損失になるので、損失の小さい蓄電ができるためにはまだまだ技術開発が必要なのだろう。容量が小さいものではUPS(無停電装置)に使われていると聞いてはいるが。
ガソリンの値段が高くなったときに摩擦抵抗の少ないタイヤが売れたそうだが、これはどの部分の摩擦なのだろうか。タイヤ表面に摩擦がなければ道路との間で滑ってしまって前に進めなくなるし、横滑りするかもしれない。タイヤ変形による転がり摩擦が少ないということだろうか。自分はできるだけ自動車を使わないようにしているから投資の回収は無理だろう。自転車の空気が抜けたらスピードが出なくなるから、空気圧が十分高くないと転がり摩擦が障害になることはよく分かる。