効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

海運と地球温暖化

以前にも書いたが、日本郵船太陽光パネルを搭載した自動車運搬船、船底に空気の泡を送ることで摩擦抵抗を減らした新型船で、輸送船のエネルギー効率を大きく上げようとする試みをしている。郵船は環境負荷の小さい「エコシップ」で業界の先頭を走っているようだ。この努力を欧州海運最大手、A・P・モラー・マースク(デンマーク)が評価したのだろう、環境分野で提携を申し入れてきたと報じられている。マースクは欧米の海運会社を相次いで買収し、コンテナ船で世界トップの規模を誇る。アライアンス(共同運航組織)に属さず、すべて自前でそろえる戦略をもつ会社だそうだが、環境負荷の小さい船の開発については自前主義を放棄したのだろう。
大量輸送が可能な海運は環境負荷の小さい輸送手段だとされている。一定の重さの荷物を運ぶという想定で計算した、単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量はトラックの5分の1以下といわれる。ただ、排出量自体は多く、国際海運全体では年間8.7億トンで、全世界の約3%を占める。ドイツ一国の排出量に当たるという。この報道に掲載された表によると、日本でCO2排出量が多いのは製鉄とセメントの業界だとよくいわれるのに対し、新日鐵JFEスチール住友金属に次いで商船三井、そしてそれに神戸製鋼所が続き、日本郵船がその次に入る。そして太平洋セメント川崎汽船という順番になっている。ただし、この表では、海運会社が世界で排出しているCO2を全部集めて日本で排出したものと仮定計算している。普通なら、日本で停泊している時のCO2排出量しか勘定に入らないだろうが、このような比較をすると海運業のエネルギー効率の向上が地球環境に大きなインパクトを与えることがよく分かる。
運航隻数が世界最多の商船三井は今後3年間に280億円を環境分野に投資し、省エネ船の第1弾は14年にも実用化をめざす自動車運搬船。大容量の太陽光パネルや蓄電池を導入するなど7つの技術を組み合わせ、既存の船と比べてCO2の排出量を41%減らすということだ。この削減量は驚くべき数字だと思う。船舶用の燃料である重油の消費量がそれだけ減るのだから。
このような技術開発で昔の造船王国の地位を環境分野で取り戻してほしいものだ。