効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

インホイールモーター

NTNが電気自動車向けにインホイールモーターを量産すると報じられている。現在商用化されている電気自動車にしろプラグインハイブリッド自動車にしろ、モーターの回転を車輪に伝える部分は従来と同じように、ドライブシャフトを経由して車軸を回転させ、その両端に車輪が取り付けられている。しかし、ドライブシャフトから歯車で回転数を変えるためにどうしてもそこで摩擦損が生じる。この機構を完全に変えて、電気モーターをそれぞれの車輪の内側に付けて、モーターの回転力をそのまま車輪に伝えるのだ。速度はモーターの回転数を変えることで調節する。NTNは従来の試作品より重量を30%軽量化したことによって、実用化の目途をたてたという。以前に慶応大学が試作した8輪電気自動車を見たことがあるが、確かこれにはインホイールモーターが使われていたし、兵庫の芦屋大学が作った電気自動車もそうだった。軽量化はモーターの発熱を水冷ではなく空冷にするようにして実現できたそうだ。
速度を変えるのにギアも不必要。オートマティック車でもギヤを使い、流体クラッチを使っているためにエネルギーロスが多いのだが、インホイールになると、速度制御を車輪の回転数を電子的に変化させて行うから、損失は大きく減るはず。もう一つの特徴は、それぞれの車輪が独立して方向を変えられるし、速度も別々に変えられる。その場で一回転することも、かにの横ばいもできる。車庫入れなどは極めて容易になるだろう。これを使った自動車の走る方向の変わり方は従来の車とは異なるために、進行方向の予測がつけにくいだろうと想像する。電気自動車によって走行に必要なエネルギーが減るのに加えて、インホイールモーターが登場するとされに燃費は良くなるだろう。面白い時代になってきたものだ。