効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

NEDOからガス湯沸器発電技術開発の発表

今日NEDOからメールニュースが入って、昔所属していていまの仕事にも密接に関連するガス業界が新しい事業分野を開くかもしれない技術開発を行ったとのことだ。それは以前にも一部紹介したことがあるが、ガス瞬間湯沸器の高い燃焼温度を利用して発電すると同時に高圧蒸気も発生させる機構。
いま市場に出ているガス機器のほとんどは、その制御に電気を必要とする。ということは停電すると使用できなくなるという弱点を持つということだ。プレス発表の表題は、熱交換可能な酸化物熱電モジュールの開発である。そこにはこう書かれている。「天然ガスの熱エネルギーを50℃以下の給湯にしか活用していないガス機器に、熱電発電モジュールを搭載して発電し、電力供給不要の自立型機器を構築。廃棄物路、工業炉、自動車などの排熱回収の道を開くこう高率な熱電発電技術を開発。」
その説明によると、これまで熱電発電モジュールに用いられていたドーナツ型またはアーチ型素子は熱交換性が悪く、電力の低下が課題だった。これを解決するためにこれまでに開発した平板モジュール技術を用いた、熱交換性と耐久性に優れる六角形のパイプ型モジュールを作成し、高温側に窒化アルミニウムを材料とするフィンを取り付け、効率よく熱回収できるようにしている。30回以上のガス燃焼実験によっても発電性能は劣化せず、耐久性も優れているとのこと。給湯器の給湯機能に加え、同時に発電および過熱蒸気(200℃)の発生を付加でき、単なる湯沸器がトリジェネレーション(3つの効用を生み出す)へと多機能化されるし、天然ガスの燃焼によって得られる高温エネルギーを徹底的に3段階で利用するので高い省エネルギー効果を出すことが期待される。発電機能を持つために、最初の起動のために必要な電力を作る最小限のバッテリーを備えれば、あるいは圧電素子での着火さえできれば、後は全体の制御に必要な電力を供給できることになる。資料に拠れば素子、電極とも破損しにくく、量産化も可能とのことだ。課題は、原料粉末から熱電発電システムまでの製造技術を構築することだとしている。
量産に成功すれば面白い商品が生まれることになる。ただ、高圧蒸気の利用分野を見つけるのがそれほど簡単なことではないだろう。利用可能なエネルギーが3つ同時に発生するのだから、その全量を同時に消費することができる分野に応用しないと効率は十分に発揮できないことになる。家庭用よりも業務用分野が有望かもしれない。エネルギーのカスケード利用として、ガス業界に福音をもたらすものに育ててほしい。
NEDOが発表した写真を拝借する。