効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

晩秋、オバマ

御堂筋を歩いていると、晩秋を思い起こさせる悪臭が鼻をついた。足下を見ると、丸い実が歩く人に踏みつぶされている。銀杏の実が一杯道路上に散らばっていて、ほとんどが元の丸い形をとどめていない。そこから何とも言えない臭いが上がってくる。これで秋も終わりだなということを教えられる。銀杏には雌雄があって、雄の樹からは精子が雌の樹に向かって動いていくと昔教わった。実際に移動しているのを見たことがないのだが、精子からするとものすごい距離を動くことになる。花粉の形で飛ぶのではないそうだから、一部分は風に助けられることはあるのかもしれないが、雌の樹の卵子があるところに辿り着くまでは必死で歩むのだろう。
落ちた実で御堂筋の車道を区切る部分に落ちた実は人間にも自動車にも押しつぶされないので、集めて土中に埋めて表皮を腐らすとギンナンが採れる。だから落ちた実を収集する権利を買い取るところがあって、誰でも採取できるのではないと聞いたことがある。御堂筋は国道だから権利を販売するのは国交省の管轄だろうか。踏みつぶされなければおいしいギンナンになるはずのものが、悪臭の源になるのは気の毒だ。折角精子が力を振り絞って雌の樹にとりついて目的を遂げたのに、繁殖の目的は達成できないものの、自然循環の中で人の口に入る方が良かっただろうと思う。

まったく話題が違うが、昨日の夕刊にオバマ米国次期大統領が新しい環境政策を打ち出したと出ている。まだ大統領になったわけではないが、この発言が来年から米国の地球温暖化対応政策として実施されるのは間違いのないことだ。2020年に温暖化ガス排出量を1990年レベルにまで削減し、2050年までにはさらにその80%削減するということだ。米国の06年時点の温暖化ガス排出量は90年比で14.4%増加している。今までブッシュ政権がとってきた政策と180度違うものになる。ただ、これは国の、すなわち連邦政府の方針が具体的に示されたと言うことであって、各州の政府ベースではこれにかなり近い形のエネルギー・環境政策はすでに実行に移されている。それを連邦政府が裏付けすることになったということだ。オバマ氏は政府が企業に排出上限(キャップ)を割り振って削減を義務づけ、過不足分を売買する排出量取引を連邦レベルで推進するそうだ。
米国は温暖化ガス排出量が世界で一番多いのではあるが、極めて無駄の多いエネルギーの使い方をしているから、オバマ氏の提唱する政策目標の実現性はあるような気がする。世界から意欲的だと評価されるだろう。その反動が日本に来ないか心配だ。もともと一人あたりエネルギー消費量は米国に比べてかなり小さいから、大きな削減量目標を設定することは事実上難しい。しかし、先進国として米国の意欲に負けないようにしなければ国際政治としては非難されかねない。日本は2050年までに60〜80%削減としているが、どのように日本が中期目標を示すのか、心配しながら待つことにしよう。