効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高効率電気モーターの開発

日立製作所と日立三機システムが、電気モーターの鉄心にアモルファス金属を使って、小型モーターの効率を上げることに成功している。アモルファスを使った変圧器は、変圧ロスが旧来のものよりかなり小さいが、コストなどの要因もあってその置き換えは期待ほど進んでいないと聞く。日立製作所アモルファス変圧器の開発・製造で蓄積したアモルファス金属の利用技術を応用して、切断・切削などの加工が不要な巻鉄心技術を確立したのだそうだ。その結果、ネオジウムディスプロシウムなどの希少金属を含む磁石を使わずに、効率の高いモーターの製造が可能になったという。アモルファス金属は、モーターに使用される電磁鋼板と比べてエネルギー損失が少ない反面、厚みが10%以下と薄く、数倍強度が高く加工が困難なため、モーターへの実用化事例はこれまでなかった。150ワット出力の試作品で約5%の効率向上を確認したとしている。
5%というと小さいように感じる向きもあるかもしれない。しかし、モーターが使われる分野は極めて広く、しかも稼働している時間が長いものも多いだけに、5%のエネルギー効率アップによって実現できるエネルギー消費の節減は量的に大きなものとなる可能性がある。コストがどれくらい上がるかにも左右されるが、償却が済んだモーターを取り替えることによって3〜4年で投資が回収できるとすれば、商品価値だけでなく環境価値も極めて高くなる。全部のモーターを一斉に取り替えるのではなく、予備モーターにこれを置いておいて、自然に高効率モーターに置き換えていく戦略をとることも可能だ。通常予備部品は使用中のものと同じものが準備されるのだが、資材購入担当者やメンテナンス管理者がちょっと工夫して、同じ仕様だが効率の高いものを購入するだけで、多少のコストアップは電気代の削減ですぐに取り返すことができるだろう。白熱電球を電球型蛍光灯に取り替えるのと同じことだ。