効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

モーターの効率化

政府は三相交流電源で動くモーター「三相誘導電動機」を対象にして、効率を上げるための規準を策定する。家庭用、業務用、産業用を含め、すべての三相誘導電動機の年間消費電力量は日本全体の約55%と、大きなエネルギーを消費している。普及台数は約1億台。これまで交流モーターの回転数を制御するインバータ技術で効率を上げてきたが、モーターそのものの高効率化は遅れていたそうだ。
何年も前にロッキーマウンテン研究所のエイモリー・ロビンスが日本に来たとき、ある建物に案内した。その時機械装置がたくさんある所に入ったところ、ポケットから遠隔から温度を測れる装置を取り出して、モーターの表面温度を測っているので、その理由を聞いてみた。彼の答えは、電気モーターの効率はピンからキリまであって、高いモーターの効率が良いとは限らないので、設置時点で効率をよく調べる必要があるという。モーターの中には46時中稼働しているものも多いから、その効率が悪ければ電力料金の支払額で大きな損をするのに、それに気がついている人は極めて少ないとのことだった。効率の悪いモーターは稼動しているときの温度上昇が大きいからすぐに分かるそうだ。彼の著作にもその意味のことが書いてあるのを思いだした。欧米などではモーター単体でも効率向上が活発化しているそうだが、日本もやっとそれに気がついたということだ。効率の高さを誇る日本だが、意外な落とし穴があった。
すでに設置されているものを効率の高いものに取り替えるのは、投資の回収が効率化によって実現する電気料金の削減でうまくいかなければ進展しない。エイモリーの本には、予備モーターを高効率のものにしておけば、故障時の取り替えによって現場の人は気づかずして効率化を実現することができるとあった。このような作業基準も設定しなければ片手落ちになるかもしれない。