効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

コージェネレーションフォーラム

日本コージェネレーションセンターが開催する第24回コージェネレーションシンポジウムに参加した。会場は経団連会館で300人近くの人がコージェネレーションの最新技術についての報告に耳を傾けた。コージェネレーションとは一つのエネルギーを使って2つの効用を生み出すエネルギーシステムのことだが、一般的にはガスや液体燃料を使って発電し排熱の利用をするシステムのことだ。昔から関わってきた燃料電池コージェネレーションの一つである。
講演の中で面白いなと思ったものがある。VOC(Volatile Organic Compounds)、揮発性有機化合物は、塗料溶剤、接着剤などに含まれていて、吹き付け塗装などの工程から大気中に排出されると大気汚染を起こす。大量に排出される場合、これを含む排気ガスを他の燃料と一緒に混ぜて燃焼させ無害化するのだが、エネルギーが無駄に使われる結果となる。IHIがこれを吸着して固定する技術を開発し、固定濃縮したVOCをガスタービンの燃料に混ぜて発電に使うシステムを開発したという説明を聞いて感心した。有害物として邪魔者扱いになっていたものを有用なエネルギー資源として利用できるように変換したのだ。
どの規模でこのシステムが可能になるかは分からないが、発電出力が2000キロワットほどだからかなり大きなものではある。まだ開発途上だからよく分からないが、これより小型のアプリケーションも可能だろう。要は吸着固定するシステムのフレキシビリティーに左右されるのだと思う。連続して塗装や接着をする工場は多いだろうし、VOCが大気中に出ないように燃焼設備を設置しているはずだ。工場の電力と熱の消費規模がうまくバランスしていれば、このシステムを導入することによって、投資の回収もできる効率の高いものができるだろう。吸着濃縮システム以外に、従来の燃料である都市ガスにVOCを濃縮したものを注入することで発電用タービンの動作が不安定にならないように制御する技術の開発も必要だったようだ。
ゴミを捨てる場所がなくなったのを、うまく燃焼できるようにして発電し、排熱で地域暖房や、プールの加熱に使っている例もあるように、厄介者を貴重なものに変えられるケースはまだまだあるはずだ。ただ、そのシステム設置に必要な投資額が大きすぎれば実現が難しくなる。コストとそれによって得ることのできるものとのバランスは難しいが、知恵を絞ればこのようなケースはまだあるだろうなと思った次第。