効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

九州電力が保安用IPネットワーク構築

九州電力は、IP(インターネット・プロトコル)を使った電力保安用の統合ネットワークを構築したと発表しました。遠方監視制御や画像監視など、従来も保安の確保のために個別に専用線で通信していたシステムを、光ファイバー(1ギガbps)によるIPネットワークを使って統合したものです。工務・系統運用部門や配電部門の監視制御用情報など、電力保安通信全体での高速・大容量化ニーズに幅広く対応できる環境が整えられたとしています。IPネットワーク構築による利便性に加え、専用線でのネットワーク構築に比べて経済性も確保できることは確かでしょう。ちょっと理解できないのは、配電・工務系などの監視制御システムを、2面のIPネットワークで統合して情報伝送する仕組みができたということで、独立したIPネットが2つあるのでしょうか。だとすれば、IP通信方式を使ってはいるものの、一般のIPネットとは切り離されているのでしょう。IP通信の柔軟性がかなり下がるのではないかと感じます。電力業界でも初めての試みだと言うことですが、海外ではかなり普及しているのではないでしょうか。
このような情報ネットワークを有効に利用するためには、何カ所にもセンサー、それも多様な信号を出せるものをこれから増やしていく必要があります。そしてその一部が客先に取り付けてある電気メーターでしょう。この間デンバーでの会議で得た情報ですが、お客さんから停電だという電話がかかってきたときに、そのお家の電気メーターからの情報で調べたら、そこまでは正常に電気が供給されていることが分かって、現場に駆けつける人の数と時間を大幅に削減できたという話を聞きました。日本のようにお隣の電気がついているということがすぐ分かれば事情が違うのでしょうが、米国の場合大都会は別にして、広い庭がお隣を隔てていれば、自分の家のヒューズが飛んだのか、本当の停電なのか分からないのが普通です。その度にいままでは現地にサービス担当が出かけていたのです。それが、電話で対応策を説明するだけで解決できることにもなります。米国の場合停電が日本に比べて多いですから、顧客サービスの重要問題なのです。
地域のトランスの情報をとれるようにしたら、停電が起きたときにもどの範囲に影響しているか、配電設備のどこに問題があるかがすぐに分かるようになったそうです。これはお客さんへのサービスということだけではなく、現場に派遣する作業員の編成業務の効率を大きく上げたことになり、このセンサー配置のコストに見合うものとなったという説明でした。これもIPネットが前提になっているはずです。一部はパワーライン通信も組み込まれているかもしれません。
関西電力が発表した新メーターが設置されるようになると、電力需要の管理サービスも拡充するでしょう。九州電力がこの新メーターを先駆けて研究していたと聞いていたのですが。