効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

京葉ガスがガスの減圧時に発電

京葉ガスが、都市ガスを減圧する際のエネルギーを回収する発電システムを完成させました。千葉県柏市にある沼南供給所に設置したものです。都市ガスは工場から高圧で送り出し、お客さんの所へは低い圧力で供給しています。その間には何段階か圧力を下げる行程があります。高圧にするとガスが圧縮されてパイプも細いものを使えますし、遠くまで送ることもできるのです。その高圧ガスを低圧にするためには、通常調整弁から吹き出すようにするのですが、その時には断熱膨張しますから周辺の温度が下がって弁が凍ってしまわないように加熱しなければなりません。弁を通過するガスの速度も大きいですから、ある程度の音もします。
この調整弁の代わりにタービンを設置して、ガスが通過するときにタービンの羽根が回って、それに直結させた発電機をまわすようにしたものです。最大出力は830キロワットだそうですが、ガス事業で不可欠なプロセスを利用して発電し、燃料を燃やさないで発電しますから二酸化炭素(CO2)排出量が非常に少ないというメリットが出てくるのです。 自家消費分を除く約8割の電力は特定規模電気事業者(PPS)のエネットに売電する予定とのことです。
沼南供給所は東京ガスから高圧によるガスの卸供給を受け入れ、中圧に落として自社の供給網に流す役割を担っているのです。 まず高圧ガスを予熱するそうですが、これは減圧の時に温度が下がりすぎてタービンが凍らないようにするためでしょう。この加熱は多分ガスで行うのだと思います。この予熱した高圧ガスは2段階のタービンを通り、3・9メガパスカルから0・9メガパスカルに減圧されます。 1時間当たり1万〜3万立方メートルのガスの導入が可能で、年間発電電力量は440万キロワット時が見込まれています。 総投資額は約3億円で、半額は環境省の補助を受けているということですので、CO2排出がないことが評価されているのです。
ガスの圧力差を利用した発電設備は大阪ガスがだいぶ前に導入した事例がありますが、この電力は全部自家使用しています。確か冷たくなるガスを暖めるヒーター電源として使っていたと記憶しています。今回のケースのように直接売電に利用したのははじめてだそうです。どの都市ガスのシステムもこのような減圧を行っています。特に大手のガス会社の場合にはこのような減圧装置が幾つもあります。それをタービン発電に利用することは技術的な問題はありません。ただ現用の設備を代替するタイミングや投資額との兼ね合いが難しいかもしれません。都市ガス事業にも新エネルギー導入が義務づけられる方向が出ていますので、このようなガスの供給差圧を利用して発電することが新エネルギーとして認められれば、各地で実施されるのではないでしょうか。