効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力供給危機が今冬にもあるか

昨日、この冬の電力供給は発電所や変電所での事故などがない限り、何とか危機的状況にならずに乗り越えられるのではないかという希望的観測を述べた。しかし、今日の報道によれば、関西電力などは来週に入ると供給力に対するピーク需要の比率が90%を超える日が何日か続くので要警戒状況になるという。90%を超えてもすぐに危機とはならないが、これの前提は、全ての発電設備や送電設備が順調に稼動していることである。しかし、最近のように大雪が降ったりすると、遠隔地にある発電所からの送電線がトラブルを起こしたりしないとは限らない。その時には広域停電も避けられなくなる。なんとも厄介な状況になってきた。
このような電力供給不足に対応しようとする企業の動きが具体化し始めている。昨年10月に、川崎重工業が、特定規模電気事業者(PPS)である日本テクノ袖ヶ浦グリーンパワー向けに、7,800キロワットのガスエンジン14台で構成する11万キロワットの発電所建設工事を受注している。このエンジンは発電効率が49%で低NOxという優れもの。また、ディーゼルエンジンだが電気着火方式を採用しているため、液体燃料を全く使わないで済む。今年の夏には稼働を始めるそうだから、設置期間の短さも特筆すべきだろう。
 このような中規模の分散電源がますます注目を浴びるだろう。建設期間の短いのはガスタービン発電も同じだ。何度もいうことになるが、熱回収をすれば総合効率は80%以上に上がる。天然ガスを利用したエンジン・タービン発電の建設がこれから幾つも出てくるだろう。その内に新しくできる少し規模の大きい集合住宅などにもこのような中規模自家用電源が設置されるかも知れない。そして、電力会社はこの電源から売電せざるを得なくなるはず。一方ガス会社はガスの供給責任が大きくなってくる。高圧ガス管自体が貯蔵設備となるから電力のような供給中断は地震などによる損傷がない限り起きない。しかし、LNG調達と高圧導管の拡充がこれまで以上に重要な課題となるだろう。