効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

中部電力子会社のシーテクの風力発電増設

三重県にある青山高原。昔からハイキングなどに適したところでしたが、年間通して平均風速が秒速7メートルあるという風力発電の適地でもあります。ここで中部電力の子会社シーテクが従来から風力発電設備を建設してきましたが、さらに規模を大きくする計画を発表しました。昨年10月に「ウインドファーム笠取」(2千キロワット×19機)の建設を始めたほか、既に稼働している風力発電施設の増設に向けた環境調査にも着手しています。増設が実現した場合、同社が携わる風力発電の総設備容量は、現状の3万1千キロワットから14万9千キロワットに高まることになります。今後も風力発電施設の開発を進めて、将来的には20万キロワットにまで拡大したい考えだということです。
20万キロワットと聞くと大きいなと思いますが、中部電力の発電規模を見ると、火力 11ヶ所 22,369千kW (内燃火力含む)、水力 182ヶ所 5,218千kW、原子力 1ヶ所 4,884千kW、合計すると194ヶ所 32,471千kW(3,241万kW)ですから、拡大させた風力発電設備で見ても全体の0.6%にしかなりません。中部電力とすればもっと拡大したいところでしょうが、中部電力管内には風がよく吹くところは少ないのです。もし適地が沢山あれば、全体の規模が大きいですからもう一桁風力発電規模が大きくなっても問題なく受け入れることができるでしょう。自社の子会社のプロジェクトですから、系統接続との関係でもあまり無理なことは言わないでしょう。日本では規模の大きい東京、中部、関西の各電力会社管内に風の条件が良いところが少ないのが実情で、北海道や東北のように全体の発電設備規模が小さいところに風がよく吹くためになかなかスムースな受け入れができないのです。
ヨーロッパではドイツの電力会社E-ONがオランダの沖合に建設しようとしている洋上風力発電規模が20万7千kWです。一基2,300kWのものを2010年までに90基建設するそうです。3キロメートル沖合で、すでに建設されていて2003年に系統接続されている16万5千kWのものと合体されることになっています。英国ではこれ以上の規模のものが計画されています。いままでにも書きましたが、日本は沿岸の深さが急峻なためにこれだけの規模のものを簡単には建設できないのです。ですから、浮体構造の上に建設しようという研究が進められていますが、建設コストも高くなるために、大きな期待は持てないでしょう。
ということは、日本が当面期待できる自然エネルギーの中心は太陽光発電や小水力発電ということになります。これを普及させるには、現在のような補助金によるものではなく、発電全量を高く買うというドイツやスペインの制度を導入することが不可欠でしょう。原子力発電があるというのが政府や電力業界の言い方ですが、これはリスクが大きすぎると思います。建設自体に問題がないとしても、太陽や小水力のように、できるところから徐々に設置するということができないからです。自然エネルギーからの電力を高く買い取れば、そのコストは全ての電力消費者が負担しなければならないのですが、環境意識の高まりがありますから、消費者も納得するでしょう。しかも急に高くなるわけではありませんから。