効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

水素を海外から輸入

今日NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発表し、また、新聞も報じているが、ブルネイで調達した水素を日本まで海上輸送し、水素の利用者へ供給する実証を行う予定だ。これには、千代田化工建設が開発した有機ケミカルハイドライド法と呼ばれるもの(SPERA水素R技術)で、水素とトルエンを化学反応によりMCH(メチルシクロヘキサン)という常温常圧で液体の物質に変換(水素化反応)して貯蔵輸送し、水素需要地にてトルエンと水素に分離(脱水素反応)して需要家に水素を気体として供給するもの。これはだいぶ前にこの日記でも開発の発表時のことをかいたことがある。これを実用的にかつコスト的にも意味のあるものにしようとするものだ。ブルネイの水素化プラント、川崎市臨海部の脱水素プラントの建設に2017年8月から着手し、2019年中にこれらのプラントを完成させ、さらに2020年からブルネイで調達した水素を常温・常圧下の液体で日本まで海上輸送し、気体の水素に戻して利用者に供給する実証を行う予定になっている。水素の輸送には、今でも液化水素、高圧水素として工業用に実用化されている入るが、これを常温常圧で大量輸送しようというもの。水素は液体で常温の化学品にし、体積を気体の500分の1まで小さくした後、日本郵船が船で日本まで運搬。国内で再び水素に戻し、川崎市にある昭和シェル石油系の火力発電所で使う。設備投資など事業費は最大100億円の見込み。発電所では燃料の天然ガスに一定割合で水素を混ぜて使用してCO2の排出比率を引き下げる。海外では欧州の一部などで水素を使った発電が始まっているが、千代田化工などは20年代後半に水素発電のコストを1キロワット時あたり17円以下に抑え、10円台半ばのガス火力との差を縮めると報じられている。水素専焼のエンジンやタービンの技術開発も行われているから、大規模な太陽光発電で水の電気分解をした水素の利用方法もこれから多様化するだろう。ブルネイの水素生産の原料が何かは発表には出ていない。褐炭からである可能性は高い。