効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽光発電に最悪の補助金

経済産業省補正予算で今年度から導入しようとしている住宅向け太陽光発電補助制度の内容が発表されましたが、これ以上不公平な補助金はないのでは、と思います。購入世帯当たり約20万円を補助するというものです。この補助金の額は、標準的な3キロワット規模の設備がほぼ200万円ですから一割を補助することになります。しかし、2年前にこの規模の設備に対する補助金を、コストが十分に下がったとして完全に廃止しました。ですからその後に補助金なしに設置した人は実に馬鹿を見たことになります。補助金は税金から出されるのですから、公平に適用されなければならない筈です。国民を馬鹿にするにも程があるという感じがします。
この補助金によって、08年度で数万戸、09年度で10万戸がこの制度を利用すると経産省は考えているようです。しかし、この補助金が年々下がるものであれば、今まで取り付けた人への不公平は横に置いたとしても、早く設置した方が得だと思うでしょうが、どうもこの補助は金額が一定のようです。だとすると、いま太陽光発電設備の価格はどんどん下がりつつありますから、経済を重視する人は十分値段が下がるまで待てば、補助金の全体に対する比率が上がることになりますから、先延ばしにしようとするでしょう。
この補助金が打ち出されたのは、今年6月に「低炭素社会」実現に向けて太陽光発電の導入量を2020年までに現状約140万キロワットの10倍、30年には40倍に引き上げる目標を決めたためです。新聞によると、これは新築持ち家住宅の約8割が設備を取り付けることになる数字だと報じています。
以前にも書いたのですが、取り付けした住宅には、新築・既築を問わず、また、設備が古いものであっても何かの形の得があるように、税控除を適用するような、従来とは全く異なった優遇策を講じるべきだったと思います。勿論、ドイツなどが実施しているようなフィードイン・タリフ(固定価格買い取り制度)のような、全発電量を通常料金より少し高く買い取る制度が導入できれば良かったのですが、それは電力業界が大反対するでしょうから無理だとしても、一度廃止した制度をすぐに復活させるとは思ってもいませんでした。このような不公平、かつ価格の下落を待つ方が得をするような制度であれば、経産省が予想するほど設置数が増えることはないと思います。経産省が前後の見境なく出そうとする補助金は、国民を馬鹿にしたものです。補正予算がこの原案通り通るでしょうか。