効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

コロラド州のRPS

デンバー空港に到着したときに、ビル・リッター州知事が新エネルギー経済社会を作ると宣言しているパネルをみたことを一昨日紹介しました。その内容の一部を今日具体的に知りました。コロラド州は伝統的に共和党の地盤なのですが、現知事は民主党です。地球温暖化防止を訴え、コロラドの自然を守ろうという主張も効果があって当選したのだそうです。
コロラド州の電力会社は、発電量に占める自然エネルギーの比率(RPS:リニューアブル・ポートフォリオ・スタンダード)を2015年に10%、2020年には20%にするようにと決められているのです。知事のリーダシップで20%は決まったのです。この目標が達成できなければ、ペナルティーが課されますし、顧客からも信頼を失ってしまうことになるので、ここの電力会社は風力発電所の建設、州外からも風力発電からの電力を購入するなどして、このRPSを達成しようとしています。そのために送配電系統を強化しなければならずかなりの投資をしなければならないのですが、州当局も財政的な支援も含めて電力会社が自然エネルギーの導入を促進できるようにしています。
日本の電力会社に課されているRPSは2015年レベルで見ても1.5%を切るくらいにしか設定されていませんから、雲泥の差があります。勿論日本と米国の電力供給網や地形的なもので差が出ているのでしょうが、あまりにも大きな差には驚かされました。そして、米国で一番進んでいるといわれるカリフォルニアもコロラド州と同じくらいですし、他の多くの州でもほぼ20%レベルの目標を2020〜30年くらいに達成しようとしているのです。京都議定書から離脱した米国というイメージが日本では強いですが、これはあくまでも連邦政府の姿勢であって、州レベルでは驚くほど地球温暖化対応が具体化しています。同じようなことを何度かここで書きましたが、日本は温暖化対応という面では世界の潮流に取り残されてしまうかもしれません。
カリフォルニア州サクラメントに公営の電力・ガス会社(SMUD: Sacramento Municipal Utility District)があります。ここは元々原子力発電所を建設しようとしていたのですが、住民投票で計画がご破算になり、一転して太陽電池を中心にした自然エネルギーに依存する方向に向かっています。沢山の太陽電池が設置されると系統の安定性に問題は出ないかと質問しましたら、日本の系統とは何か条件が違うかもしれないが、問題は全くないだけではなく、ピークを抑制できるし、系統の増強投資を軽減できるなどメリットが大きいとのことでした。いま年間でエネルギー消費がゼロとなる住宅の建設を推進しています。日本もこのような事例を参考にすれば、太陽光発電容量が増えたときの対応策を実証するのに巨額の政府資金を投入する必要はないだろうと思います。電圧変動の許容度などは州によって違うのですが、120ボルトが基準ですから日本とそれほど条件が違うとは思えません。太陽光発電に限って言えば、日本の電力会社は反対のための反対をしているような気がしてなりません。石原東京都知事コロラド州知事に似ているのですが、残念なことに対象地域の大きさが違うので、あまり思い切ったことができないのは残念なことです。しかし、太陽熱利用を促進する意味で、熱対象のグリーン証書制度を新設しようとしているのは、米国にもまだ見られないだけに評価できるものだと思います。