効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国の原子力発電と太陽光発電

米国でいままでまったく建設されなかった原発にゴーがかかって、次々に新規の着工がされるような報道が多いようですが、現地情報を読んでいると、新規建設はコストがかかりすぎるし、いままでの例から見ても、予想しないコストアップが積み重なることが多いために、投資リスクが大きすぎると考え、様子眺めをする電力事業者がほとんどのようです。米国政府の支援策も準備されているのは事実ですが、その額は投資リスクを下げるほどの規模ではないと考えられています。経営にマイナスとなる原発に手はつけないというのが主流になっていると言えます。
いま投資が集まっているのは、太陽光発電風力発電です。太陽光発電で米国の特徴は、太陽光を集光して蒸気発電する方式が盛んで、現時点でも集光式蒸気発電の規模が、太陽電池方式のものとほぼ同じ規模となっています。ともに2007年末で40万キロワットですが、砂漠の多い地域を中心にして多くの事業者がこの蒸気発電の新規計画を発表していますので、累積容量が急上昇すると予想されています。太陽電池方式のものも、屋根を借りて設置しようとする電力事業者が増えると予想されています。太陽光発電は昼にしか発電しませんから、電力を高く売れるために事業として成り立つようになっているのです。
風力発電についても大きな規模のものが計画されています。ただ、需要が少ない夜に発電すると、その電力を売るときに安くなってしまうため、揚水式、空気圧式、蓄電池式などいろいろな方法で蓄電して、高く売れる昼間に供給する計画をする事業者が増えているそうです。また、夜に風力発電から安く買った電力で環境クレジットを手に入れ、それを利用して昼に石炭や天然ガスで発電した電力をグリーン電力扱いにして高く売る手法も導入されている所もあるそうです。これはブラウン電力と呼ばれています。風力発電は風がいつ吹きそうかの予測手法もかなり確立されています。しかし、テキサスで、予想したほど風が吹かなかったためにあわや大停電になる寸前まで行ったケースもありました。風力発電は出力変動が大きいために系統の電力品質にも当然影響を与えるのですが、それを改善するアンシラリー・サービスもビジネスとして盛んになっています。系統に影響のある風力発電が受け入れられているのは、多くの州が自然エネルギーの導入義務を電力会社に課しているからでもあります。
原発ばかりに固執している日本とはかなり様子が異なるようです。