効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽光発電狂想曲

東京都が2009年度から太陽光発電システム設置に、1キロワットについて10万円の補助をすることを決めたと発表しました。10年度まで2年間に投じられる補助総額も90億円と、国内自治体で最大規模とのことです。太陽熱温水器などに対しても設備内容に応じて1件当たり3万〜20万円を補助するということですから、太陽エネルギーの利用に本腰を入れたということでしょう。
NEDOによると、太陽光発電への補助制度があるのは8月22日現在で308自治体。愛知や京都など8府県が制度を設けていますが、東京都の補助額はこれまで最高の福島県(3万円/kW)を上回っています。都の補助は、他の補助にも上乗せされるそうですから促進効果は大きくなるでしょう。
新しい種類の太陽電池開発や製造能力の増強の記事も毎日と言っても良いくらい見ることができます。ただ、これは国内市場を対象というよりも、輸出市場の拡大に取り残されないようにするためだと言っても過言ではありません。今日本の太陽電池市場は世界でも例外的に横ばいになっているのですから。
政府はそれに活を入れるために助成策を大幅に増強するという方針で、09年度予算の概算要求で太陽電池に限定した予算額を大幅に引き上げるとしています。08年度予算は経済産業省環境省あわせて技術開発などへ総額58億円を計上したのですが、09年度は4年ぶりに設置補助を復活させるなどして5・4倍となる総額313億円を要求する方針です。しかし、この増強がいままでの拡大を支えてきた家庭用の太陽光発電システムの普及促進に効果を発揮するかどうかは、補助策の内容がまだ具体的に発表されていないために見えないところがあります。ただ、電力会社などが大規模なメガワット(千キロワット)クラスのものを、系統連系の問題点解決実証テストの目的に拡大される予算などを使って、次々に設置する可能性がありますから、全体の設置規模は拡大するかもしれません。
メガワットクラスのものについて、日本では系統の周波数を乱すという理由で、その防護技術開発が必要だとして政府資金が投入されています。欧米にはすでに数十メガワットクラスのものが系統に連系されて何の問題もなく稼働しています。その技術情報も入手できるはずです。系統の調整が設置に対応して必要であることは認めますが、日本の電力会社はその整備を極力行わず、太陽光発電システム側で対応することを求めているように思えます。そうすると当然システムのコストは上がりますから、独立の事業としては成り立たなくなるのです。電力会社自体がメガワットクラスを設置すれば、需要地に近いところに設置されることから得られるメリットを算入できますから、今でも利益が出ることはまず確かでしょう。日本の電力会社の言いなりに試験費用を負担する政府の姿勢は、いい加減に止めてほしいものです。運転要員もほとんど要らず、燃料コスト変動のリスクもゼロですから、最初の設置コストが大きくても、ある運転期間を考えればメリットの方が大きいはずです。これは欧米の電力事業のデータでも示されています。