効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

セコムが家庭用燃料電池をレンタル

セコムが2009年春をめどに、家庭用燃料電池のレンタル事業に参入すると日経新聞に報道されています。それも、電気と都市ガスが止まったときにも、燃料としてLPGを使えるようにボンベを併設して、家庭内で電気製品を使えるようにするということです。私の家で動いている燃料電池は、系統の電力が止まると停止するように設計されていますから、セコムはいま標準的に使われているインバーターを設計し直して、停電が起きても切り離して稼働し、家庭内の負荷変動にも対応できるようにするのでしょう。技術的には可能ですが、セコムはOEMでどこかのメーカーから供給を受けるとしても、それほど多くのユニットを販売することができるとは考えにくいので、かなり高価なものになってしまうのではないかと思います。
停電してもガスはすぐストップしないので、徐々にLPGに切り替えるのはできるでしょうが、短時間の停電と長時間のものとどのようにして区別するのでしょうか。出力は1kWのもののようですが、富裕層に売り込む戦略だそうですから、そこの電気負荷は1kWよりかなり大きいと考えられます。停電すると、負荷を全体で1kW以下になるように切り離す作業を自動的にしなければ、燃料電池が過負荷になって停止するでしょう。それを防ぐための制御プログラムは新たに開発しないといけないし、個別の家庭でそれぞれに異なる設定をしてやらなければなりません。配線も切り分けができるように作り直す必要がでるでしょう。過渡的にも蓄電池で過負荷にならないようにしてやるなど、かなり複雑なものになる可能性があります。電気もガスも止まるほどの地震が起きたとすれば、燃料電池自体が壊れたりする確率も高いはずです。
2009年度に600件のレンタルをするということですが、レンタル料金が月2万円で、5年契約です。新築はともかく、既築の住宅に取り付けるとすると、配線のやり直し工事だけでも大きなものとなりますから、報道されたように作動する燃料電池ができるとしても、設置工事が大がかりになってしまうので希望する人がでるでしょうか。また、いままで国が実証試験をしてきたものと設計が基本的に異なりますから、実証テスト抜きで商品化するメーカーがあるのでしょうか。アイデアとしては面白いですが、非常の時だけに動くものにするか、一部の電気機器専用に1kW以下で動くようにする方が妥当なように思えます。