東京ガスは2日、正興電機製作所と共同で停電時でも運転が継続する家庭用燃料電池「エネファーム」(700〜750ワット)を使った発電システムを開発したと発表しました。日本の家庭用燃料電池やガスエンジン・コージェネレーションは、電力会社からの電力供給が止まる、普通の表現で言えば停電したときには、自動的に停止する設計になっています。電気が流れなくなった配電線に小型発電機からの電気が流れないようにするためです。技術的には自動的に切り替えて自立運転させることは可能だったのですが、日本の電力供給の安定性が極めて高く、ほとんど停電しないために、自立運転をのぞむ消費者もなく、価格もかなり上がるために、商品としては成り立たなかったのです。それが東京で計画停電(実質的には無計画停電だと思います)があって、また原発の停止で日本全体が電力不足となり、ピーク時に停電する可能性が現実化したために、停電しても停まらない燃料電池への要望が具体化したのです。JXエナジーはこのような燃料電池の商品化を発表したことは以前に書きました。続いて東京ガスがこれと同様に蓄電池を使ったシステムで来年の2月から販売するそうです。大阪ガスや他のガス会社はまだ発表していませんが、時間の問題でしょう。これから注目すべきは、停電時は系統から切り離して自立運転ができると同時に、発電能力より屋内電力消費が少ない状態が夏のピーク需要の時間帯にある時に、配電線に逆流、すなわち今の太陽光発電のように売電できる仕様のものも開発されるかどうかです。技術的には可能ですが、電力会社が買うつもりがこれまでありませんでした。しかし、電力不足が続くのは明らかですから、高い価格で余剰電力を買い取る料金制度、技術的な標準化が進められると考えています。数日前に書いたように、エネルギー政策がピーク需要の削減に重点が置かれるからです。
ただ、これは先進的なことではなく、他国の水準にやっと追いついたということを認識しておく必要があります。