今朝の日経新聞によると、フランス政府は2020年末以降に建設する全ての建物に太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電装置の設置を義務づけるほか、同年を目途に石油、石炭など化石燃料の発電向け使用を事実上ゼロにするそうだ。洞爺湖サミットを前にして、踏み込んだ対策を打ち出して、地球温暖化の国際交渉で主導権を握る意図だという。
提出された包括案では電気事業者の大規模発電には、風力発電など再生可能エネルギーの比率を20年までに全体の20%に引き上げるよう規定している。同国は原子力発電が発電量の80%を占めているから、合計すると化石燃料の使用はないことになる。出力変動がしにくい原発に頼っていながらこのようなことができるのは、余った電力を欧州全体に通じる系統を通して輸出できるからだ。たとえばイタリアは大量の電力を輸入している。
ドイツや英国に後れを取っている温暖化ガス排出削減を強化しようとしているのだが、このような強行策が実際に行えるのだろうか。太陽電池素子はかなり価格が下がってきたとはいえ、おそらく固定価格買い取りを電力会社に義務づけなければ社会に受け入れられないだろう。また、風力発電についても、欧州では系統に入る風力発電の比率がかなり大きくなっていて、系統が不安定になっているといわれているだけに、輸出できるからといっても他国の電力事情とのすり合わせも必要だろう。欧州の再生可能エネルギーの導入がいままでと同じようなテンポで実現するかどうか少し心配している。