家を新築する知り合いから太陽熱給湯器について相談を受けている。若い世代にはすでに過去の歴史になっている石油ショックの後、屋根の上にお湯を貯めるタンクが一体となった太陽熱給湯器が爆発的に売れた。それが販売事業者のスキャンダルなどがあったりして、耐用年数が来たものから順に更新されることなく数が減ってきていた。
しかし、環境問題が認識されるこの頃、少しずつ設置が増えているようだ。設備コストからすると、タンクを一体化したタイプが一番安い。お湯を一番使うのは風呂だから、風呂だけに別配管するか、給湯回路を季節によって切り替えて使い、冬など温度が十分上がらないときには追い炊きするようにする。夏にはやけどしそうな湯が出るはずだ。
もう少し高級になると、屋根上には太陽熱の吸収装置だけ置いて、下の貯湯槽との間をポンプで水を循環させて熱くなったお湯を貯めておいて使う。屋根に水の重さがかからないのも利点だ。これを給湯回路に結ぶのだが、温度が十分高くない冬には瞬間湯沸かし器で加熱する。従来の瞬間湯沸かし器は、入る水の温度が十分低くないと作動しない(多分水が流れない)から、水を混入して温度を下げてから湯沸かし器で再度温度を上げていたようだ。これは無駄というもの。
そこで最近、貯湯タンクの水が設定温度以上であれば瞬間式給湯器が作動せず、水を混ぜて設定温度にする商品が登場している。ただし設備コストはかなり上がる。一番温度に敏感なのは風呂だから、太陽熱給湯器は風呂専用にして、風呂給湯器を追い炊きにだけ使う方が良いのかもしれない。シャワーとの取り合わせはちょっと考えないといけないかもしれないが。風呂にだけ使っている人に聞くと、太陽さえ顔を出せば、水で埋めて使う期間が結構長いそうだ。
この温水を暖房などに使うような高度システムもあるが、個人的には勧める気にならない。設備コストがかかった割に十分な熱が利用される時期が限られ、ほとんどが暖房機器に燃料を使って暖房することになってしまうからだ。多少手間はかかるが、単純な設備ほどコストパーフォーマンスは良くなる。他の水回りシステムとの取り合わせを考えることだ。
いまグリーン熱証書制度が検討されているようだが、何とか太陽熱給湯器もその中に組み込まれるようになってほしいと願っている。