効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

超電導自動車

住友電工が13日に超電導モーターを使った電気自動車の試作品を公開した。世界初だそうだ。超電導は、金属を一定温度以下に冷やしたときに電気抵抗がゼロになる現象で、昔は液体ヘリウムを使ったマイナス270度ほどでないと超電導にならず、そこまで温度を下げるのに多大のエネルギーを使うし、ヘリウムという量を集めるのが難しいガスを使うので研究レベルでしか利用されていなかった。しかし、液体窒素が使える温度であるマイナス200度で超電導になる合金材料が開発され、住友電工など日本の電線メーカーが超電導送電線の実用化にしのぎを削っている。
電気自動車を駆動する電気モーターの巻き線を超電導材料で作るということは、銅のように柔らかくはない線材を小さなモーターレベルでコイルにできる技術を開発したということだろう。電気抵抗がゼロだから、大電流を流しても損失がほとんどない。報道では銅線に比べて断面積あたり200倍の電流を流すことに成功したそうだ。電気ロスが少ないために燃費は大きく向上する。電気モーターは本来的に回転トルクが大きいから、加速は従来の車より良くなるだろう。
実用化は10年内ということだ。しかし、この発表はモーターに使う巻き線に超伝導材料を使えるほど加工技術が進んできたことを世界に認めさせるのを目的にして行われたのではなかろうか。実際には超電導を電気自動車に使うのが実現するようには思えない。液体窒素を常に車内に貯蔵し、それを液状に保つのに冷却装置も必要だからだ。住友電工超電導電線の開発では先頭を走っているだけに、その技術開発がここまで来ていることを示したいのだろう。この技術は、大型の超電導コイルを使った蓄電装置にも応用できる。小型でできれば大型への応用は簡単だということを、商品化技術を利用して発表したのだと思う。