効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力業界と再生エネルギー

電気事業連合会の勝俣会長は低炭素社会の実現に向けた電力業界の取組の一環として、原子力の活用や再生可能エネルギーの拡大を積極的に進める考えを表明した。原子力の活用は永年のお題目だから格別のことではないが、再生可能エネルギーについて、風力発電を現行の導入実績の約3倍となる500万キロワットほど、太陽光発電も約7倍の1千万キロワットまで原則として受け入れる方針を表明している。
洞爺湖サミットを前にして、電力供給の基本的責任を負う電力業界は、発電する電力に占める再生可能エネルギーの量が先進諸国に比べて極端に少ないし、絶対量で言えば、中国やインドなどにも大きく引き離されている。福田首相の環境対応策を多少でもバックアップする必要に迫られたのだろう。
しかし、その目標量は極めて小さい。増量を受け入れるためには系統の整備をする必要があることは分かるが、そのためにどの程度のコストが増えるのか、国民にもっと情報を提供する必要があるだろう。電力の消費者も、ある程度のコストアップは納得して受け入れるのではないか。いままでの説明では、変動する風力や太陽光発電は受け入れにくということだけを言い、受け入れ可能にするにはどういう方策が必要で、どのようにコスト分担をするかについて、具体的な数字を聞いたことがない。コストがかかるのは分かるが、問題はどれほどのコストがかかるかを、電力業界独自の試算を示し、それを第三者機関に評価させて納得性を出す必要があるだろう。
いままで、風力発電について、kWhについて7円強の購入価格であったものを、11円にするという発表をした電力会社も出てきた。太陽光発電については、3つの地域に限定して優遇策を具体化したようだが、早く全国ベースの促進策を設定しなければ、風力よりもはるかに導入しやすい太陽光発電を拡充することは難しいだろう。