効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

炭酸ガスの分解

日経産業新聞の5月16日号に出ていた記事だが、二酸化炭素(CO2)に可視光を当てて効率よく一酸化炭素(CO)に変える技術を、東工大石谷 治教授などが開発したそうだ。COは非常に活性が高いために、水蒸気などと反応させるとメタンにしたりできるから工業製品の原料として利用できるし、それ自体でも燃えるからエネルギーとしても回収できる。高温型の燃料電池の場合には、水素と同じように発電用燃料としても使える。
炭酸ガス有機溶媒の中に溶かし、可視光ということは太陽光と考えても良いから、自然に存在する光を当てて、COとして取り出せるのだそうだ。CO2は本来非常に安定した分子なので、これを分解するのは難しいのだが、有機溶媒の中に有機物の還元剤とルテニウムレニウムを含む触媒を溶かしておいて光を当てると、還元されてCOになるという。
CO2は分解が難しいということを前提にして、火力発電所からの排ガスに含まれるCO2を分離して、地中や海底に封じ込めるような方法が考えられているのだが、もしこの方法が技術的に可能だとすると対応の仕方も変わってくるだろう。問題はこの触媒や還元剤が高価なために経済性が出ないということだ。しかし、高価なものに代替するものが見つけられれば、排ガスの全部をというのは無理としても、一部でも有用な資源に作り替えることができれば素晴らしいことだ。太陽光をレンズで集めるということが記事にも出ていたが、強い光を使って生産性が上がるならば、あるいは、合成されるものが高価に売れるとすれば、コストのかかる触媒を使っても引き合うかもしれない。ルテニウムというのは化学製品の合成や分解に使われる触媒としてよく使われているから、格別珍しいものではないはずだ。
炭酸ガスをキャッチして埋め込む方法も研究しなくてはならないだろうが、こういう方法で炭酸ガスを分解できるということを知っただけでも嬉しいことだ。