効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

シャープの太陽電池事業

今日の日経新聞一面に、シャープがヨーロッパの発電事業第二位であるイタリアのエネル(Enel)と太陽光発電事業で提携すると出ている。シャープのプレスレリースではないから、日経の取材記事かエネルの発表だろう。
2011年末までに、イタリアに世界最大級の太陽光発電所を共同設置し、薄膜型太陽電池パネル工場の建設も共同で行う可能性があるとのことだ。ヨーロッパでは固定価格買い取り制度(フィードイン・タリフ)で強力な助成策を行っている国が多いため、これからも太陽光発電設備の容量が増大することは確実である。この市場拡大をにらんでヨーロッパの発電事業大手と手を組み、販売の拡大とコストダウンを狙っているのだ。イタリア各地に太陽光発電所を設置して、2011年末までに16万キロワット強の容量を持たせることに合意したという。
記事によると、シャープは太陽電池パネルの製造能力を現在の年70万キロワットから600万キロワットに引き上げる構想を持っている。いま堺市に新しい工場を建設中だが、これからの工場はほとんどが海外に展開されるのではないか。日本の太陽光発電容量は伸びが止まって横ばいになっている。これは世界的に見ても極めて異例のことだ。いま国内で製造されるパネルの多くが輸出向けだが、製造コストを考えても、輸送コストを考えても、市場が拡大しているところに製造工場を持つのは経営として当然の判断だと言える。シャープに続いて、大手の京セラなども同じことを考えるだろう。しかし、これが日本のエネルギー政策の貧弱さの故であるとすると実に残念なことだ。現在の国内生産能力を全部国内向けにしなければならない位に国内市場が大きくなるのは、現在の政策を前提にする限りは望めないと思う。製造の時に使われるエネルギーは1〜3年で回収できるから、その後は完全に炭酸ガス排出のないクリーンな発電になる。半年で回収できるものもできている。国内での設置を促進する施策を早く出さないと、工場がどんどん海外に移転するだろう。