太陽電池の生産量で長く世界一を保ってきた日本が、2007年にトップの座を欧州に譲り渡したことが、米国の専門調査機関の発表で分かった。基本的には材料であるシリコン素材の調達競争に負けたためだが、政府の補助がなくなって日本の家庭用部門での取り付けが落ち込んだことも大きく響いている。輸出する方が国内で販売するよりも利益率が高いともいわれているが、もし国内にしっかりした需要があれば、それに応えないはずがないので、日本市場の縮小が響いたことは確かだろう。
地域別の太陽電池生産量を見ると、06年には欧州が68万キロワット、日本が93万キロワット、米国が18万キロワット、その他が69万キロワットになっているのに対し、07年は欧州が106万、日本が92万、米国が27万、その他が148万となっていて、日本は生産量自体が減っている。企業別では7年連続一位だったシャープがドイツのQセルズに抜かれて二位になった。Qセルズは前年比1.5倍の39万キロワットであるのに対し、シャープは16%減の36万キロワットだった。三位は前年から倍にのばした中国のサンテック・パワー。
太陽光発電からの電力を電力会社に高い優遇価格で買い取りを義務づける制度が、ドイツに始まり、スペイン、ギリシャ、韓国などに広がっていて、市場が急拡大している。日本はこのような普及促進策が導入されていない。それも太陽電池だけでなく、再生可能エネルギー全般に、実質的に効果がある促進的な制度がないために、風力発電などはもっと悲惨な状況にある。
これから日本のメーカーが国内に工場を新設する動きが加速しているが、ほとんどが輸出向けだという。しかし、太陽電池の製造にはかなりのエネルギーが消費されるので、できるだけ国内に設置されなければ、消費したエネルギーを発電で取り返せなくなってしまう。世界規模では炭酸ガス排出削減効果があるとはいえ、日本の削減量には換算されないのだから実に情けない話しだ。