効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

NAS電池の海外輸出

1月5日に規模の大きい蓄電池を製造している日本ガイシ(株)が、アラブ首長国連邦UAE)のアブダビ水利電力庁からNAS(ナトリウム硫黄)電池システム50MW(メガワット)(5万キロワット)を受注したと発表している。受注金額は100億円超。NAS電池で電力負荷を平準化することでガスタービン発電機の運転を効率化でき、発電時の燃料消費量と二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるとしている。
報道によれば、アブダビ首長国の中心部アブダビ島に点在する複数の変電所に、合計5万キロワットのNAS電池システムを順次納入する。納入は昨年12月から始まり、今年7月に完了する予定。同システムの導入は今後さらに拡大される計画で、電力需要の拡大が著しいアブダビ本土への展開や、大規模太陽光発電への活用も検討されている。NAS電池は、一つのユニットが1000キロワットのもので、それを複数台設置することで容量を大きくすることができる。ただ、蓄電、放電のときにエネルギー損失が不可避なので、本当は火力発電所よりも太陽光発電のような化石燃料を使わない電源に使用することが望ましいものだ。NAS電池はこれまで、青森県六ケ所村の風力発電所に納入した定格出力3万4千キロワットを最大規模として、国内外約200カ所、合計27万キロワットが使用されている。今後、アブダビと同様の用途で、中近東諸国や欧州、米国でもNAS電池を使った蓄電システムの導入が検討されているという。
日本でも昼と夜の電力需要の格差が2対1になっていて、安定したフル稼働が要請される原発や石炭火力発電の操業を維持するために、揚水型水力発電所の建設が行われてきた。ただこれは自然破壊に繋がる側面があるために、いくらでもできるものではない。もしこれに代わる役割をNAS電池が果たせるのならば良いが、規模として間に合うかどうかは分からない。海外でこのような電池に関心が出てきたことは新しい傾向だ。高容量電池を送配電系統のあちこちに配置すれば、系統運用はやりやすくなるだろう。NAS電池には資源的制約は少ないから、後はコストとの兼ね合いになるはずだ。米国やヨーロッパにも輸出実績があるから、今後の展開を見守っていきたい。この規模の蓄電池としては代替商品がないだけに、成功すれば大きな輸出商品になるだろう。