効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

新型アモルファス柱上変圧器

今日の日経産業新聞に、中部電力が新たなアモルファス材料を使った柱上変圧器(新聞には柱状となっているが、柱上の間違いだと思う)を開発したと報じている。そのサブタイトルが、容積2割、重量1割抑える、となっているのを見て、大事なことを忘れているなと思った。変圧器の電圧変換時の損失をかなり削減しているはずだからだ。
記事の中には、既存のアモルファス材料の組成を変えて、磁束密度を約5%高めたほか、エネルギーの損失も2割程度軽減したとある。道路わきの電柱の上にある変圧器は見慣れたものだが、小さくなって軽くなったというのは、工事関連では大切だというのは分かるが、エネルギー効率向上が課題になっているいま、2割の効率アップが副題に上がらないということ自体、記者なのか電力会社なのか分からないが、問題意識のありかたの方向が違うように思う。
これが設置されれば、それにつながる建物のエネルギー効率が20%上がったのと同じになる。ということは、変電所からそこまでの配電線についても余裕ができて、将来の投資を抑えることもできる。量産体制に入れば、現行のアモルファス変圧器と同等のコストで生産できるそうだから、全体としてみれば設備投資を抑えることも可能となる。
アモルファスを使う変圧器は、昔からの珪素鋼板を使ったものより効率がもともと高い。中部電力は91年から設置を開始し、150万台の変圧器中5万台でアモルファス材料を使っているということだから、配電システムの効率アップを実現する余地はまだ大きいといえる。もっと注目しても良いのではないか。
アモルファス変圧器は、90年当時米国の圧力で米国製のものの輸入を押しつけられた面白くないイメージがあるが、総合的には良い製品だし国内技術も育ったのだから、過去のことは別にして普及促進を図るべきだろう。