効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力の需要側管理(DSM)

電力の供給能力が不足しそうになると、欧米では需要の抑制のために、個々の住宅・ビル・工場などの消費を下げるようにする信号を送り、それを受け入れて電気設備を停めたり、創業を落としたりしてくれれば、それに対応した報酬を出す(例えば翌月の電気料金を何円か下げる)ような方式をとっている電力事業者が多い。その方式をDSM(Demand Side Management)というが、これが、日本でもこれから本格的に実施されそうだ。DSMには、需要抑制だけでなく、需要を増やすようにして貰う方式も、天候によって変動する再生可能エネルギーの出力が大きくなって需要を超えてしまう可能性があるときに、実施されるようになっている。九州電力が先月の週末に行ったような、再エネ電源出力の抑制をしないようにする方式で、東電がいま実証試験を行っており、九電もそれに続くようだ。
DSM中部電力が本格的に事業化しようとしていることを最近同社が出したレリースで知った。これは住宅を対象としたもので、電気ヒートポンプ給湯器(エコキュート)とエアコンの稼働を下げてもらうことによって、エコキュートのメーカーであるデンソーと共同開発した制御システムを来年初めから実施するようだ。中部電力の指示信号に対応する契約をした住宅には、毎月の料金から50円安くし、実際に指示に従った場合には、制御時間30分あたりで、給湯器の場合には20円、全室空調の場合には10円を翌々月の電気料金から引く設定になっている。電気機器の利用を停める時間は1回に120分が最長で、日に2回、月に5回が限度。これまでの実証試験では、全室空調をしているトヨタホームの住宅が協力している。
20119年度の契約件数の目標は1,000件、2025年度には5万件だとしているから、制御装置の取付だけでもかなりの作業が伴うだろう。この制御が行われる30分前にはその顧客にメールで知らせることになっている。対応できないという返事がなければ、多分自動的にDSM体制に入るのだろう。
エコキュートは、需要を増やす方向にも制御できるから、九電も同じような方式を導入する検討をしているに違いない。