効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バラード社の株主向け情報

エネルギー市場情報を仕事にしている英国の友人が、カナダの燃料電池技術開発会社であるバラード社の株主向け情報を送ってくれた。彼には日本の分散電源情報をいつも送っているのでそのお返しみたいなものだ。
そのデータの中で面白いなと思ったのは、2007年に比べて通信関係電力のバックアップ用への出荷数が、2008年の予測として3倍近くになっているということだ。家庭用のコージェネレーション用は横ばいないし下がり気味である。家庭用コージェネはおそらく日本向けだけだろうからなるほどと思うが、通信関係がこれほど伸びるというのは、以前にも書いたことのあるデータセンター向けの電力需要が急速に伸びていることの反映かも知れない。北米では電力供給能力に余裕がないから、天然ガスか水素がありさえすれば需要地(オンサイト)で発電できる燃料電池は理想的な補助電源になるだろう。発電効率は高いから熱は捨ててしまっても良いし、通信関係機器は直流を使うから、燃料電池の出力電圧を上下させるだけで需要に対応できる。日本でもデータセンターの電力需要の増加が問題になりつつあるが、燃料電池業界としてこれに応えようとしているのだろうか。まだ家庭用向けの技術開発に手間を食って、新市場に目が向いていないのだろう。
これはガス業界としても見逃せない市場となるはずだ。通信用は多少価格が高くても、電力品質も問題だから販売できるはずだ。いままでは蓄電池業界が目を付けていたが、通常電力と蓄電池の中間にある市場として意外に重要であるかも知れない。