効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

貝殻を使った沈殿剤

京都大学の豊原治彦準教授が、貝殻が含む特殊なタンパク質を利用して、土砂混じりの水を短時間できれいにする浄化剤を開発したと、日経ビジネス3月8日号の一面に出ている。泥水に少量混ぜると約5分間で土砂が沈殿し、きれいな上澄み液になるそうだ。従来の高分子沈殿剤が2−3時間かかった処理時間を短縮できる。
この沈殿剤は、貝殻を300度Cで熱して焼いた灰分の粉末で、1トンの泥水に100グラムを混ぜれば5キログラムの泥を沈められる。貝殻には主成分の炭酸カルシウムを付着させる特殊なタンパク質を含むそうで、このタンパク質の作用で水中の砂粒を寄せ集めて沈殿効果を高めるということだ。灰分にする温度が高すぎるとこのタンパク質も破壊されるから、温度の操作にノウハウがあるのだろう。
従来工事現場などでは湧出する泥水の泥を高分子薬剤で沈殿させてから下水道に流していた。泥水から土砂を除くために1〜2立米以上の大きさの沈殿槽が必要だったものが、ずっと小型のものにできて、持ち運べるくらいになるという。
貝殻は漁業関係ではほとんどが廃棄物になる。これがこのような形で有効利用できればまず素晴らしい。そして、高分子沈殿剤はおそらく化学合成された物質だろうから、それ自体が汚染物質になる可能性もある。ところが貝殻の構成物質であれば、よほどの大量でない限り、環境汚染の原因にはなりにくいだろう。おそらく水中で簡単に分解するのではないだろうか。タンパク質だから窒素分があるので、残った土砂の成分によっては肥料になるかもしれない。経済的側面と環境的側面を両方満足できるものになるとすれば素晴らしいことだ。半年後の販売が目標というから楽しみだ。