効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の風力発電

一緒に仕事をしているヨーロッパのエネルギー分野のリサーチャーから、日本の風力発電は全て蓄電池を付けなくてはいけないと聞いたが本当かと尋ねてきた。ヨーロッパから見ると驚くべきことであるようだ。ヨーロッパでは最近になって風力発電の変動を十分に吸収する系統容量を補強する必要があるという論調も出るようになったが、EU諸国は全部が一つのネットワークになってつながれているために、よほど風力発電の規模が大きくならないと対応はそれほど難しくないだろうと思う。
今日の毎日新聞に、逆風吹く風力発電という記事が出ていた。町おこしにも風力発電が設置されているところが増えている。しかし、風力発電で赤字を出しては意味がないが、風力事業者の電力大手向け平均売電価格が、03年度は1キロワット時あたり11.8円だったものが、06年度は10.7円に下がり、8円台も増えているそうだ。風力発電推進市町村全国協議会の森利男会長の談話として、「10円を切ると採算は難しい」と出ている。
電力会社は「風力は出力が不安定」でコストがかかると訴え続けていて、そのために政府資金で大容量の蓄電池を設置した実証試験も行われている。蓄電池のコストは膨大なもので、それだけ電力会社が高く買ってくれれば良いが、そうは問屋が下ろさないだろう。料金を上げるわけにはいかないというのがその理由だ。
ドイツは電力会社に再生可能エネルギーを通常より高い定額で全量買い取らせる制度を導入して、07年度の風力導入率を約13%に高めた。電力会社はこの高コストを料金に転嫁しているから、結局国民全体で負担していることになる。日本でも地球温暖化に有効なものを利用する責任は国民一人一人にあるのだから、同じ制度を日本も早く採用しなくてはならないだろう。日本の電力会社には一定量以上の風力発電電力を利用することを義務づけているが、その義務量が馬鹿みたいに低い。政府は電力会社のいいなりに義務量を設定したからだ。電力会社は何もしなくても良いくらいなのだ。そのようなままで、今後世界に向けて日本は環境対応を進めていると胸を張って言えるのだろうか。