効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

色素増感型太陽電池

東京へ3日行っていたので、午後帰宅してからは新聞をゆっくり読むのに時間を使った。出張先のホテルでも読めないわけではないが、気がせいているときの読み方では気づかないことも結構ある。昨日の日経新聞に出ている薄くて曲げられる色素増感太陽電池の実用化にめどという記事も見逃していた。桐蔭横浜大学ベンチャー企業のべくセル・テクノロジーズ、藤森工業が高出力なフィルム型のものを開発したようで、光変換効率を従来の1.5倍、6%に高めたという。携帯電話の充電用や非常用電源に十分な電力が得られるもので、来年2月からサンプル出荷を始めるという。A4版サイズのもの一枚で携帯機器を充電する程度の電力が発生できるそうだ。
色素増感太陽電池は、従来のシリコンを素材としたものとは異なり、光を吸収して電子を放出する色素を付着させた酸化チタンと導電性高分子膜からなるもので、製造に必要なエネルギーも少なく、印刷技術で作れる。量産できれば、シリコン型よりも価格を半分以下に抑えることができる可能性もあるらしい。今回のものはガラス基板ではなく導電性フィルムを使っていて柔軟性が高い。記事通りの性能だとしたら面白い商品になりそうだ。
ただ、この太陽電池を屋根の上に設置するようなものにして数キロワットレベルのものにできるかどうかは分からない。多分シリコン素材のものに比べると寿命がずっと短いのではないか。携帯電話の電池の発電コストは家庭で消費する電気代に比べると、おそらく数百倍はするが、要求される電力が小さいのと利便性が高いために誰も文句を言わずに使っているわけだ。だから、この色素増感太陽電池は利便性優先で考えると、数年くらい使えるものであれば価格が多少高くても消費者に受け入れられる可能性は高い。この需要があればある程度の量産規模になり、寿命の問題も改善されると普通の発電にも応用されるだろう。
このところ太陽電池の新技術情報が相次いで報道されている。これからの潜在需要が大きいことを予測した企業努力の表れだろう。同じページに太陽電池や液晶ディスプレーに使われる透明電極を希少金属であるインジュームではなく酸化亜鉛で作る技術を金沢工業大学が開発したという記事も出ている。性能は同等でありながら材料費は100分の一以下に下げられるそうだ。これから実用化技術の開発に入るそうだが、中国など希少金属の産出国が輸出規制をかけるなどの動きがあるだけに、希少金属を使わない技術であるのは将来が楽しみだ。