効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

COP13

インドネシアのバリ島で開催中の国連気候変動枠組条約13回締約国会議で、議長案が示された。それは2013年以降の温暖化防止の国際的な枠組(ポスト京都議定書)で先進国に温暖化ガスの新たな削減目標を求めることを明記し、2020年までに1990年比で25〜40%削減する数値目標の策定を検討するとしている。12日からの閣僚討議の叩き台となるが、日本政府は拒否する考えを示しているとのことだ。EUは歓迎しているが、米国は数値目標の設定には反対で、日本もそれに沿った方向になっている。
IPCCは、温暖化の影響を避けるには産業革命が起きる前に比べて平均気温の上昇を2度以内に抑えるべきだとし、そのためには、世界の温暖化ガスの排出量を2050年までに半減すべきだとしている。全世界の排出量の半分以上を占める先進国で大幅な削減が必要となることは確かだ。
議長案では交渉期限を2009年とし、中国が2010年としている他は概ねこれで合意しそうだという。ただ数値目標について日米が数字を示すことに強く反対することになりそうだ。もし議長案が合意されれば、来年から5年間平均で温暖化ガスの排出を1990年比6%削減することを義務づけられている日本は、それすら実現が危ぶまれている中でさらに大きな削減を求められることになり、極めて難しい立場に立たされることになる。条約を離脱している米国には、現時点で数値目標はないが、世界でもっとも多く温暖化ガスを出している国としての行動を強く求められるだろう。米国の大統領選挙にも影響が出るかも知れない。
日本は排出権取引制度も国内に準備ができていない状況ではあるが、数値目標を受け入れたうえで途上国への効率的エネルギー利用技術支援によって排出権を獲得し、それを使って数値目標を達成する政策をとるべきではないかと思う。京都議定書に従った施策をとる責任がある以上、その基準となる数字を何か持たなければ、中国をはじめとする途上国に強い姿勢でものを言えなくなるからだ。途上国から排出権を高く買わされることになる可能性が高いが、交渉事である以上戦略的な対応によって負担をできるだけ軽くする努力が必要となるだろう。