効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ブルー・プラネット賞受賞記念講演会

午後、渋谷にある国連大学へでかけた。昨日ブルー・プラネット賞を受賞した二人の記念講演を聞くためだ。最初に話をしたのはジョセフ・サックス カリフォルニア大学名誉教授。教授はちょうど自分と同じ年代。伝統的な法体系の中には、自然や多様な生物の生息保護のような地域住民や人間社会共通の財産を守るような仕組みがなかったものを、ミシガン大学におられた頃に公共信託の考えを織り込んだ環境法を初めて創案し、ミシガン州議会で州法として成立させたことで知られている。DDTの大量投与によって多くの動物が死んだことから、自然の生き物を無差別に殺戮することから生物を守る、その拡大としては、生物の多様性を守り社会の共通財産(コモンズ)を経済開発の犠牲にならないようにする環境法の基本概念を生み出したのだった。一般大衆は自分が所有していない土地などについても、それが社会一般の利益に影響を与えるものであれば、それを守る権利が信託として与えられているということだ。日本では里山の概念に当たるだろうか。しかし、環境保護はどうしても被害や損害が起きて初めて回復が図られるというように、現象の後追いになりがちであり、どのように将来を見通して被害・損害を防止するかが難しいということも今日に話の中で伺うことができた。
続いてエイモリー・ロビンス博士の話だったが、50枚を越えるスライドを使っていて時間不足になったようだ。基本になっているのは、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギーの利用促進は、民間がそれによって利益を生むと思って行動することによって達成されるのであって、政策や規制には、それを実現させる役割があるということだった。内容で驚いたのは、エネルギー効率では世界の先端を走っていると思っている日本が、必ずしもそうではないという事実を知らされたことだった。日本の一人あたり電力使用量は毎年増加していて、いまではカリフォルニアやニューヨーク州の一人あたり使用量よりも多くなっているということだった。また、大きな概念としては、エネルギー利用の効率化には、一つ一つの機器効率の向上も大事だが、それ以上に、それらが組み合わさったシステムとしての効率をどのようにして上げるかを、最終的にどれほど利益を上げるかを基準にして考えなければならないという主張にも納得させられた。