効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

E Sourceの年次フォーラム

今回コロラド州ボールダーへ来たのは、私が日本窓口をしているエネルギーのエンドユースを巡る技術、規制、ユーティリティーの戦略、エネルギーユーザーの反応などについてレポートを出し、コンサルティングもするE Source(イーソース)という情報会社の年次フォーラムに参加するためだ。E Sourceはボールダーにある。ここは日本の長距離走者が高地順応をするためによく合宿をするところで、1,400メートルの高地にある。会議の注意事項にも、水をよく飲むこと、酒を飲み過ぎないこと、心臓に心配のある人は走ったりしないことということが入っている。
会議参加者の数はほぼ400人超。会合第一日目に出席しての感じでは、米国のエネルギー関連企業のエネルギー効率化に対する姿勢は、2005年に出されたエネルギー政策法が強調しているのに対応して従来とは大きく変わり、大中小の企業だけでなく、家庭も含めたエネルギー消費者の環境意識の変化に対してどのように効果的な行動をとるかを真剣に考えるようになっている。しかも、その変化の源泉は、連邦や州政府のエネルギー規制当局が、電力・ガス会社が効率的なエネルギーの利用を促進せざるを得ないような法規制や指導をしているからであるようだ。
技術的な側面に留まらず、料金政策を柔軟なものにしたり、規制当局がユーティリティーインセンティブを与えたりしている。そして、顧客対応をするユーティリティー(電力・ガス事業)の方も、従業員の教育することによって顧客がエネルギーに関する理解を深めることができるように工夫を重ねている。一つのセッションでは、従業員が満足することが顧客満足につながるという表題の会合があったように、いかに会社と消費者の間の関係を密接にしようかとの工夫もなされている。E Sourceが最近発表した、ユーティリティーの作成しているウエブサイト(ホームページ)が顧客サイドから見て使いやすいものになっているかという調査に今まで以上に大きな関心が寄せられていたことにも見られるように、顧客を引きつけられなければ経営としてマイナスになるという経営判断であろう。これは自由化された市場で、競争している他の電力事業に負けないようにという側面もあるのは確かだが、そうしなければ顧客からも規制当局からも見放されるという危機感からではないかと思えた。