効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

発電する人工筋肉

少し前に何度か、振動や伸び縮みのエネルギーを電気に変換して、その発電量が少ないので電池に貯めて利用する方法について述べたことがある。その延長にある記事を先週の日経産業新聞で見かけた。「誘電エラストマー」と呼ばれる伸縮性のある導電性高分子でできている人工筋肉は、電気を流すと伸縮し、ロボットの駆動や薄型音響スピーカーなどに使われるが、逆に外から力を加えて伸縮させると電気を発生する。圧電素子と同じ原理だ。この人工筋肉で波の力を受け止めて伸縮させて発電させるのだそうだ。
発電量は少ないはずだから実用化はどうかと思って読むと、この人工筋肉の面積1平方メートルのもので、高さ6センチの波で1〜2キロワットの発電能力があるというから驚いた。円筒状のブイの中に重りをつけた幅20センチの人工筋肉を蛇腹状にして入れた構造で、波の上下運動で重りが上下する力を使って発電するらしい。このシステムで使う人工筋肉のコストは、1平方メートルあたり約500円で、一基100万円程度でできるという。記事のタイトルにはコストが太陽光の4分の一と出ている。本当にこれでキロワット規模の発電ができるのだろうか。また、この蛇腹人工筋肉は波の動きで伸縮を繰り返すのだが、耐久性は十分あるのだろうか。
もしこの性能が本当だとすると素晴らしい。波の高さや周期は変動するから整流して蓄電池に貯めるか、インバーターで系統周波数の交流に変換して系統連系することになるのだろう。海上の観測施設の電源や離島などでの利用が考えられているようだが、ある幅の振動があれば良いのだから利用領域をもっと広げることはできるだろう。本当にキロワット規模の発電能力があるとすれば、系統への接続も意味があるだろう。日本庭園に水の力を巧妙に利用した獅子脅しがあるが、川の水を少し貯めて大型の獅子脅しにしたり、水車でクランクを回して伸縮運動に変えてやれば、ミニ水力発電できるはずだ。面白いものができそうだ。