効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ガス会社と太陽熱利用

東京ガス太陽熱温水器とガス給湯器を併用する家庭向け新システムを開発するそうだ。商品化は2009年度以降となるようだが、家庭で必要な給湯エネルギーの1割程度を小型の太陽熱温水器で賄うという。この太陽熱温水器は、よく見かける屋根設置型とは少し異なり、バルコニーの壁面に設置するようになる。この場合太陽光に対して斜めになるため熱の吸収効率が屋根置き型よりも3割程度落ちるらしいが、建物の外観に対する影響度を小さくしようとするものだ。反射板などを付けるなどすれば、この効率は上がるだろうが、コストとの比較をして単純なものにしたのだろう。
まず太陽エネルギーでお湯を作り、それを50〜100リットル程度のタンクに貯めておき、給湯の時に必要な温度に調節するのには、熱すぎる時には水を混ぜ、低いときにはおそらく瞬間式のガス給湯器で加熱するようになるのだろう。水を混ぜるのは比較的簡単だが、瞬間式ガス給湯器での再加熱は、制御を新たに開発しなければならないだろう。従来の瞬間式給湯器は、水道水の温度を前提にしてもっとも効率が出るように設計されている。ところが入ってくる水の温度が高いと、加熱の効率が極端に下がるし作動しないこともある。太陽熱温水器内の水からお湯の出口の水までの間、何カ所も温度を測定してもっとも効率が高くなるような最適制御をしなければならない。
大手のガス会社では、太陽熱温水器を商品として取り込むのは昔から検討されていた。しかし、太陽熱利用分だけガスの売り上げが下がるのは自明のことであるため、営業サイドの反対でいつもお蔵になっていたのだ。ところが、環境志向の顧客が増える傾向のある中で、電力会社の電気ヒートポンプ給湯器やオール電化ハウスによってガス離れが加速しているのに対する危機感から、新たに商品化する機運になったのだろう。
自然エネルギーの利用としては、太陽熱温水器が一番コスト効果は高い。石油ショックの後の80年代に急速な普及を見せたが、大手販売会社が訪問販売法違反で行政処分を受けた97年度以降新規の設置数は急落しているようだし、初期に設置された機器も寿命が来ても更新されず、太陽熱温水器の利用は縮小している。ガス会社はこの傾向に歯止めをかけることができるだろうか。