効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

洋上風力発電

東京電力東北電力の管内では、おそらくここ数年は夏の電力需要のピーク時(ひょっとすると冬のピークにも)に供給が不足する状態が続くだろう。そのため、ピーク時にできるだけ電気器具を使わないようにとの強い要請が出されるが、電気は基盤エネルギーだからどうしても必要なものには供給をしなければならない。そこで建設期間の短い天然ガス火力発電の新設、周波数変換設備の大幅増強が最短で効果を出せる施策となる。一方、天然ガスは石炭や石油に比べれば、燃焼ガスに出てくる炭酸ガスの排出量は少ないとはいえ増えざるを得ない。温暖化ガスの排出抑制効果を出すためには、再生可能エネルギーによる発電を増やすことにも力を入れなくてはならない。小水力、バイオマス、地熱、風力、太陽光など総動員しなければならないが、これも時間がかかる。ただ、本州と北海道を結ぶ直流連系線を大幅に増強すれば、北海道に風力発電を新設するのは比較的やりやすい。人口が少ないために騒音被害などが起きにくいからだ。風力の新設は、うまくやれば1〜2年で稼働を開始できる。連系線の増強も2年程度でできるはず。これまで電力事業にその意志が全くなかったからできなかっただけだから、北海道電力からの融通に加えて風力発電からの電力を本土に送ることは比較的早期に可能だ。そして、その風力についても何とか洋上風力発電の実用化を促進してほしい。関東地方でも沿岸部沖には常時風が吹いている。これを系統に接続させるのは難しい話ではない。
これについて興味ある報道がある。IHIのグループ会社が、東京大学と共同で、浮体式洋上風力発電プラントの導入コストを従来の半分程度にできる新たな浮体を開発したという。出力5千〜1万キロワットのプラントで、現在は約40億〜60億円かかるといわれているのが、新浮体の採用により、20億〜30億円程度までコスト低減が可能になるとしている。コストがかかる重りが不要な方式らしい。12年度から、新浮体を採用した出力2500キロワット設備の実証試験を開始し、15年度には商用化する考え。浮体は3つのいかりで海底に固定する方式を採用した。将来的には新浮体を採用した出力5千キロワット級のプラントを市場投入し、20年度に年間10基以上の販売を目指すと報じられている。日本は陸上に風力発電を設置する余地が少ないので、この方式を早く実用化することによって地球温暖化対応に多少なりとも貢献できると期待している。