効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

デンマークの風力発電

知り合いがデンマーク風力発電の状況をメールで転送してくれた。デンマークは九州の面積と同じくらいのごく小さな国である。幾つかの島を対象にするここの電力供給網は、東西に分離されていて、西地区は、首都であるコペンハーゲンのある東地区とは系統が結ばれていない。しかし、ほかの国(ノルウェースウェーデン、オランダ)へ電力の輸出入が行われている、ということは、ヨーロッパ全体の電力供給網とは結ばれていることになる。デンマークには多くの風力発電設備があって、今年9月の数字として送られた数字を見ると、国全体では総発電容量365万キロワット(四国電力の持つ発電設備の半分を少し超えたくらい)のほぼ56%にあたる206万キロワット強の風力発電設備が設置されている。他国との接続容量は差し引き輸出として84万キロワットのようだ。西地区には全体の発電能力が205万キロワット弱に対して、風力発電設備が180万キロワットほどあり約88%にもなっている。輸出能力は93万キロワット強。東地区は電力輸入が多いために、国全体で見ると輸出能力は小さくなっていると読める。
西地区の風力発電設備比率は目を疑うくらい大きい。それでありながら、現地からのメール情報によると、風力発電によって系統電力の品質が影響を受けることはないという。風力発電は当然風の有無によって発電量が変動するのだが、デンマークでその変動を抑制するための大型蓄電池が設置されるなどの特別措置がなされているとは聞いたことがないから、全て他の発電所の稼働を変化させることと他国との連系によって負荷変動に対応できていることになる。
日本の状況を見ると、風況の良い北海道電力東北電力の管内では、大型の風力発電プロジェクトの潜在量はまだかなりあるのだが、毎年の受入量が厳しく制限されているために実現されていないものが多い。風力発電の受け入れ可能量は総発電容量の数パーセントが限度だとする制限は、需用が少ない夜に風が吹くと系統に悪い影響が出るから必要だと説明されている。そのため電力需用が少ないときに風力発電からの出力を大型蓄電池に貯蔵して昼に放出する設備のテストが国の支援で行われたりしている。
しかし、デンマークの数字を見ると、電力品質の考え方の違いやヨーロッパ全体の系統運用と日本のそれとの違いはあるにせよ、どうも日本の電力会社は唯我独尊的な自己防衛に走りすぎているのではないかと思う。それも電力消費者へのサービスを落とさないためにという言い方で。電力消費者の求めるサービスの内容との乖離も起きているのではないか。