効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

常用自家発電市場の動向

06年度の常用自家発電設備の導入状況をまとめたニュースが入ってきた。エンジンやタービンで発電した電力コストが電力会社の系統から買うよりも安ければ、自前の発電設備を常時稼働させれば電力コストを引き下げられる状況が最近まであり、特に、安価なディーゼル燃料を使えて発電効率の高いディーゼルエンジン発電が人気を博していた。ところが昨今の世界的な石油価格の高騰によって、ディーゼル自家発のコストメリットがなくなってしまい、新設件数はほぼゼロになるし、既設のものも停止して電力会社からの電気に戻るケースも続出しているようだ。
ディーゼル発電は熱回収をしていなかったが、ガスエンジンやガスタービン発電の場合には排熱の回収をするコージェネレーション形式が普通だ。発電と排熱利用で総合熱効率が高くなるために、コスト効果と同時に設置事業所の炭酸ガス排出量を削減することができるために潜在需要は高い。ところが、天然ガスを供給する都市ガス会社の供給能力が、LNGの輸入契約の関係で一時的に不足しているようで、規模の大きなガスコージェネレーションの設置件数が減少気味である。
このような制約条件が出たために、06年度の常用自家発電設備の新規設置容量は05年度比で48%減の約48万4500キロワットだというから極めて市場状況は厳しいものがある。当面石油価格が下がることは期待できないために、ディーゼルエンジンによる自家発電市場(熱回収なし)の回復は望めそうにない。しかし、総合熱効率が高いコージェネレーション(熱電併給)は地球温暖化対策としても極めて重要な位置を占めているため、燃料供給の制約さえなければ今後も増加していくだろう。日本コージェネレーションセンターの資料によれば、06年度末におけるコージェネレーションシステムの総発電容量は879万キロワットであり、日本全体の総発電容量の3.2 %を占めている。熱効率の高さによって環境改善に貢献すると共に、分散型発電として系統の安定性を補強する役割も果たしている。最近、数千キロワットレベルの大規模ガスエンジンで発電効率が世界最高水準になったものが商品化され始めたし、20〜30キロワット規模のガスエンジンコージェネレーションでは、排熱利用が給湯だけに止まらず吸収式空調機(冷暖房)への熱源に使うことも可能になってきたなど、今後コージェネレーションはますます重要度を高めていくだろう。普及に向けた制度の強化も望まれるところである。大規模集中型発電所が予期せず止まる場合に備えて、分散型発電を電力会社自ら行う時代が来るのではないかとも思っている。