効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

包装の削減と軽量化

英国のEurope Japan Centre(ヨーロッパ・ジャパン・センター)が送ってくれたレポートに、グリーンパッケージの導入について面白い具体例が示されている。
マークス&スペンサーでは、調理済みのサラダの包装に使う新しい技術を開発した。包装フィルムの密着部分を従来の15ミリから1ミリに狭めることにより、10パーセントの包装材料削減に成功すると共に、従来よりも丈夫で開封しやすくなったそうだ。サラダの種類によっては従来方式よりも3日ほど長くサラダを保存することが可能になっている。これによって、傷んだために廃棄されるサラダを減らすことにもつながっている。
食品飲料メーカーであるハインツ(Heinz)は、缶の底と本体部分を0.02ミリ薄くすることで、年間1,400トンの鉄と585トンの炭酸ガス排出を削減したそうだ。英国では年間5兆個の缶詰と缶ペットフードが販売されており、1缶あたりの軽量化は炭酸ガス排出を削減の可能性を大きくするとしている。
英国は環境問題に対して関心の高い国と言われているが、消費者に対して企業・ブランドがどのように地球環境に貢献しているかのグリーンメッセージは、ブランドに対する信頼を獲得する上での重要さを増していて、この認識を持たないブランドはやがて競争力を失うとも言われているとこのレポートは伝えている。
グリーンパッケージの導入がコスト削減効果も同時に出せなければ、コストをかけてグリーン化をしても、経営として収益に結びつかなければなかなか実施に移れないのだが、この2つの事例では新しい技術の応用コストは従来のものより高いかも知れない。その時にコストがかかるとすると、それが経営的に見て収益性があるとするかどうかは難しい経営判断だろう。昨日述べたモーダルシフトの事例では、直接的な経費削減効果があるためにやりやすいように思えるが、これからは、サービスのレベルを落とさずにグリーン化をするコスト上昇がどこまで経営的に受け入れることができるか大きな課題だろう。
環境問題を長期的に解決するためには、中長期的に企業収益を落とさない環境対応技術や施策がなければならないのだが、その方向は最終的に消費者である国民が決めることになる。企業が発するグリーンメッセージを評価する日本の消費者のグリーン感覚がこれからどのように変わるかが将来を決めるだろう。